「何となく〇〇」にも理由がある。
「何となく、この方が良くない?」
スタッフとの会話の中でよく飛び交う言葉です。
皆さんの日常においても「何かこれ好き、これ惹かれる。」
など直感で気持ちが動く場面があると思います。
設計をしていても、現場においても、
「何となくいい、何かがおかしい」
の判断の連続である事に気づきます。
「感覚で家づくりをしているの?」と不安に思われるかもしれませんが、
「何となく」にも理由があり、それを具体的に探る事はとても大切な事です。
例えば、
「間取りはご依頼通りに綺麗にまとまってるけど、何か魅力に欠ける…」
→ 家具の設置場所に後付け感があり、いつも居る所が落ち着かない場所にある。
→ 間取りと構造計画の連動性に欠け、最も大切な耐震性能の優先順位が低く、外観も整っていない。
→ 廊下が無駄に長く、部屋間のつながりも弱く、面積は大きいのに広さを感じない。
→ リビング、ダイニング優先で、家事や生活の裏側となる部分の動線計画がいまいち。
→ 敷地全体に対する建物の配置計画、庭とのつながり、周辺環境を活かしきれていない?
「窓を沢山つけて、明るさも風通しも良さそうだ、、でも何かしっくりこない。」
→ 床まである大きな窓で明るそうだけど、外からの視線が気になり、
カーテン閉めっぱなしになりそうだし、そこから外に出る必要がある?
→ 窓が多くて、寄り添う壁が足りなく、家具はどこに?
また明るい場所ばかりで落ち着かないかも。いつも元気な気分とは限らないし…。
断熱性能においても不利に働くし、外観も整わない。
上記は何かピンときていない時のほんの一例ですが、そこには必ず理由があり、
そこに気づき、深掘りしていく事で、家づくりのヒントが貯まっていくと思います。
皆さんも日常において感覚や直感で物事を判断をしている事があると思いますが、
概ねそれが間違っていない事も多いのではないでしょうか。
そんな時に、「何で私はそう思うのか?」
を考えると、自分の趣向が分かり、または自らを知るきっかけにもなると思います。
家づくりにおいても、皆さまの「何となくこんな感じにしたい…」の「なぜ?」を一緒になって考え、
具体的な言葉から形へご提案していく事は、私たち設計者の大きな役割りだと思っています。
岡本 茂揮