「白羽町の家」の建築計画についてお話します。
建築地は浜松市南区白羽町。 JR浜松駅から南に3キロほどのところに位置します。
市街化調整区域ですが古くからの家が多く、比較的住宅が密集しています。
計画した住宅は南西角地。 使わなくなった倉庫を住宅に建て替える計画です。 建て主はこの家のお子様世帯で、親子が隣で暮らす2世帯近居となります。
既存の倉庫を解体したところ。 左手前に見えるのはカーポートです。 敷地東側も道路になっており、奥に家が1軒あります。
中央付近、青で囲った部分を拡大します。
昔から井戸を使用していたそうです。 汲み上げ式の井戸で、もとは人力だったようですが、 現在はポンプで汲み上げています。 庭の散水や洗車などに使用するため、外部水栓に繋いでいます。
お施主様からは、 「この井戸を活かして計画提案して欲しい」と相談がありました。
■住まい手のご要望・暮らし方
・和モダンな外観、瓦屋根。 ・生活感の無い(物が片付く)暮らし。 ・間接照明のある、大人な雰囲気。 ・ヨガが趣味。 ・陶器が好き。こだわりの器がある。 ・料理が好き。キッチンにこだわりたい。
全体計画です。 ご家族はご夫婦とお子様(1人予定)、約30坪の2階建てのお住まいです。 南北に長い長方形平面で、南側に居住空間、北側に収納と水廻り、2階に個室を配置しています。
屋根はシンプルに切妻屋根を組み合わせています。 玄関は西面とし、玄関ポーチに井戸水の手洗いを計画しました。 神社の「手水舎」のイメージです。
立体になると、屋根に変化がありリズムが生まれます。 窓の高さや大きさも、バラバラにならないよう外観と室内でバランスを見て配置しています。
リビングのイメージ
ダイニング・キッチンのイメージ
道路から家の中の様子はほとんど見えなくなるため、 リビング南面は大開口としています。 庭木を沢山植え、枝葉によって外からの視線を遮ります。
またご夫婦ともキッチンに立ちますので、 オープンなキッチンとし、2人で作業も出来るような広さを確保しました。
手洗いコーナーにはマルイチ奥田陶器さんの器を使用します。 ご夫婦が滋賀県まで足を運び、購入してきたものです。
初期案
これは最初に計画していたプランです。 基本設計(プランニング)だけで約6か月、検討を重ねました。 暮らし方のこと、メンテナンスのこと、コストのこと、家相のこと、 将来のご実家の扱い方等、、、時間をかけて納得いくまでお話しました。
時間をかけて出来た図面には、住まい手も設計者も愛着が沸きます。
現場は基礎工事が進んでおり、少しずつ出来上がっていく姿に喜びと期待もひとしおです。