まずは、これを見て下さい。
現状は駐車場や家庭菜園、花壇として利用されています。
さて、この土地にはどんな家の計画が可能でしょうか。
具体的な家を考えていく前に、設計者の思考プロセスを知って下さい。
まず外枠から固めていきます。
①法規制を把握する (広さや高さ、用途などの制限、地盤の状況などを把握します。)
これは現地で把握するというよりも、その前後で市のHPなどから調べます。
②インフラを把握する (電気、水道、ガス、側溝、道路、交通状況などを把握します。)
これは現地に行かなくてもある程度分かるのですが、現地と役所の記録で食い違っていることもあるので
現地で確認することが重要です。
③周辺環境を把握する (東西南北の景色、陽当り、風通し、臭い、音、近隣住民の様子、道路や隣地との高低差、残置物、地境などを把握します)
これは現地確認する最大の目的です。課題の把握も大事ですが、なるべくその土地の良い所を見つけるようにしています。
そして住まい手の暮らしとの相性を考えます。
事前に住まい手の要望や暮らし方を把握しておくと、その土地でのご要望の実現方法がより具体的に考えられます。
最後に、それらを統合して、そのご家族がその土地に住む意味を見出しながら
周りに馴染む、家の配置や形、間取り、内部空間を考え、家の卵を産みだします。
話を土地に戻します。
外枠①②の話は、ここでは省きます。
③の周辺環境について
この土地で見つけた良い所を2つだけ紹介します。
東側道路で東西に長い敷地。東側の建物も低いため東の空が広く見える!
南側の隣地には大きな柿の木と蜜柑の木が植わってあり1年を通して緑が楽しめそう!
※ただこれは南隣に家が建つまでの期限付きなので、南に家が建ったことも考えおく必要があります。
次に課題です。
西、南西には平屋が見える。お隣の生活の様子も分かるので、ここはなるべく目に入らないようにしよう。
北隣地所有の生垣が、手入れが難しくなったため撤去された。北隣家の玄関が丸見えに。
敷地の形状からなるべく南や東に居室を配置したいため玄関は北側に配置されることになる。
お隣さんと玄関がぶつかるとお互いに余計な気遣いが出てしまい疲れてしまう。
ここは配置はあまり自由が利かないので、目隠しの塀を建てて対処しよう。
この他、諸々検討して生まれた計画がこちら。
道路がある東側から駐車場、庭、家の順で配置。
駐車場から家までの間に付属の小屋を計画。駐輪場、目隠し、雨避けの役割を担う。
道路からできるだけ距離を取り、安心感のある室内環境を。北玄関の北隣地側には目隠しの板塀を設けた。
家と駐車場、小屋に囲まれた庭。手入れのしやすい程よい広さ。
東側の窓を開けやすくするため板塀と植栽で外からの視線を遮った。
軒の出と板塀の高さを工夫して、冬の暖かい日射や南隣の緑は取入れ、夏の暑い直射や外からの視線は遮った。