朝の西側

温熱性能上、西向きに大きな窓を設けないのはセオリーであり、特に夏の西日は忌み嫌われがちで私も苦手です。

でも「朝の西側」はお気に入り。

東側に設けた寝室から差し込む朝日で、爽やかに目覚めるの健康的ですが、西側に設ける寝室のように朝でも薄暗く、ゆるやかに目を覚ますのも好きです。

また、朝日が照らす西側の景色は、まるで寺院のように薄暗い室内から庭園を眺めているような心地よい感覚に包まれます。


↑寝室から臨む朝日が照らす西側の景色

窓から見える夕日は忙しい日々から時間の間隔を取り戻してくれます。

このような感情に変化をもたらしてくれる体験を日々していると東西南北と窓の在り方について考えさせられます。

日照時間の短い北欧では、低い高度の西日を室内に取り込み大切にする事もあります。

↑ 以前訪れたスタジオ・アアルト(フィンランド)

私の実際の設計においても、その土地にある僅かな景色でも開口に工夫を凝らし、方位にとらわれ過ぎずに計画する事もあります。


↑北西側に開くリビング(古人見町の平屋)

性能も情緒も両立させるべく、バランスを取るのが私の仕事ですが、優位はなかなかつけられませんし、つけるものでもないと思っております。

仕事以外の日々にも、ふとした感情の動きを設計に取り込めないか考えるのもこの仕事の面白さでもあり、やまいでもあります。

岡本

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