時間をかけること
「人の話、聞いてる!?」
よく家族から言われる言葉です。
住宅設計のしごとをしていると日常的に色んな事を考えてしまい、
悩んだり迷っている時間がとても多いことに気づきます。
それは自身の能力や引出しが足りない事で、決断するまでに
時間が掛かってしまうのだと反省すべき点もあるのだと思います。
ですが、時間を掛けて考える=非効率と判断してしまうのも
ものづくりをする上では怖いと思います。
迷ったり、モヤモヤしている状態で判断を急ぐと、
その他の可能性をつぶしてしまい、後悔する事になるかもしれません。
例えば良い間取りができた!と思っても室内の居心地はどうか、
外観はきれいなのか、コストパフォーマンスはどうなのか、
自分の都合になっていないか、多面的な判断が伴っていなければなりません。
周りの設計スタッフにも第3者的な目線での意見を聞く事も重要です。
すべてリセットして、その他の案もまた考え直した方が良い事もよくあります。
ですが最初から考え直す事は自分の都合との葛藤で、言うほど簡単な行動ではありません。
また、ものづくりにはほとんどの場合、依頼主がおります。
希望されたままにつくる事は時間を掛けずに済むので、ついその方向に流れたくなりますし、
そうする事で自身の責任が薄まっている気もします。
時間を掛けるほど良いものができる、とも言えませんが、
時間を掛けずに良いものができる、とも思えません。
限りある時間ですが、なんでも相手にスピードを求めてしまう事は、
ものづくりにおいても、日常の生活においても気を付けなければなりません。
「効率」という言葉の意味の本質を
「よいものをつくる」という観点から間違いのないようにしたいです。
岡本茂揮