時代と引き継ぐもの

先日、建て替えのご計画で解体前のお立会いをしていた際に
お祖父さまが当時の庭師さんと共に、作り上げた庭の今後のお手入れについて
弊社の庭師さんと共にお話を伺いました。

お祖父さまは、農業をされており、毎日畑とお庭の手入れをしていたとのこと
そのため小さい頃に庭にいるお祖父さんの姿をよく見ていたそうです
「写真に収めておけばよかったね」と、お孫さんがつぶやいていました。

お祖父さまが高齢になり、急な崖を登れなくなったこと
子の代、孫の代のご家族はそれぞれ
仕事を持ち、農業が主軸ではなくなったこともあり
庭の手入れを毎日するということはできなくなったそうです。

木が枯れて撤去したりする中で、広がってくるつるの植物、雑草、大きくなる庭木
登れない急斜面と、手入れするのも難しく、最近の雨で少しずつ山の上の土が
流れてくるようになったそうです。

庭師さんの話では、木や下草がなくなると土が流れやすくなると。
それに加えて増えてきている大雨、様々な条件が重なって
最終的なアドバイスは下草を抜くより、木や下草をさらに植えて「増やす」ことでした
根が貼り、土が流れにくくなると。

時代が変化する中で、手入れできる範囲の庭というご要望が多いのもこうした背景があると思います。
引き継いだ人が、残ったものを維持していくことの難しさ
自然災害による懸念など、さまざまに考えさせられる時間でした。

既存の庭で同じような維持管理の悩みをお持ちの方も多いと思いますが
縮小して、手入れできる範囲にとどめるというのも
一つの方法なのかもしれません。

山口江梨子