記憶と場面


実家を離れ、今住んでる場所に住居を構えて数年たちます。 今住んでいる場所はそれまで縁がなかったのですが、土地探しは交通や生活の利便性を重視して決めました。
最近、近所を歩いていて感じるのは、どことなく実家の周辺の様子と似ているということ。
街区というよりは、昔の集落の名残のような街並み。 敷地の周囲にはホソバの生垣。 夏の蛙の鳴き声、秋の虫の音。 キンモクセイの香り。
ふとした時に、幼いころの実家での記憶や、場面が思い出されることが多いのです。
もしかしたら、今の場所を選ぶ際に、無意識にそういった遠い記憶と似通った場所を選んだのかもしれません。
家づくりにおいても、そういった住まい手の潜在的な記憶に寄り添いながら、
拠りどころとなるような場面づくりを目指していきます。
それが住まいへの愛着に繋がっていただけたら幸せです。

杉浦和寛