ならでは

まいにち目にするリビングのテレビ台。

リモコンが使えるように、扉を格子にしようかどうしようか。
故郷を離れて居を構えるお二人がより土地に愛着をもてるように、せっかくならその土地ならではのものがいいな。

そう思い、掛川で建築中の方へ「葛布」を使ったテレビ台をご提案しようと葛布を作られている小崎葛布工芸さんへお伺いしました。

葛布は掛川周辺で古くからつくられる織物で、カバンや襖など様々なものに使われています。

「年数が経ち色濃くなりつつも、控えめな艶を保つのが葛布の特徴です」
と説明くださる代表の小崎さん。
100年を超す襖を前に、作り手としての誇りを感じます。

昔から変わらない手織りの様子が益々気に入り、自分用にも”しおり”を買って帰ってしまいました。

その後、神社仏閣めぐりの好きなお施主ご夫婦にも歴史ある葛布を無事、気に入っていただきました。これからいよいよ、製作に入っていくところです。

サン工房では、造り付けの家具や建具の一つ一つをそのお住まいの素材や意匠、ご家族の暮らしに馴染むよう一邸ごとに設計をして、手づくりしています。

北欧好きなお客様にマリメッコを使った建具を作ることもあれば、建て替え前のお住まいの障子をお父様の思い出として再利用したり、時にはわき役として簡素に、シンプルな形にしたりと

そうした積み重ねの末に、そのご家族ならではの想いが形になったような、そんな家作りができたらと思っています。

鈴木孝明

【建具ブログ】
建具の再利用