想像が膨らむ

以前、施工させて頂いたお施主様のところに久しぶりにお伺いさせて頂きました。
ご夫婦で暮らす平家のお住まいですが、一室にお茶室を計画させて頂きました。その部屋に入ってぼんやりと庭を眺めていると自然と心が安らげます。
外部からの光の量を控えめにした凛とした和の空間、無駄を感じさせない濃密な庭、そして庭木の背面にある土塀の存在が非日常的な心の安らぎに繋がるのではないかと思います。

土塀といえば寺社の周囲を取り囲むようにして造られているのは目にしますよね、
伝統的な技術をもつ職人により手をかけ造られた空間はやはり魅力的な風景を作り出すことができますね。
手がけた大工さん、庭師さん達もきっと楽しみながら造らせて頂いたのだと思います。

毎日の生活では家事、育児、お勤め、学習、運動とまだまだ沢山やりたい事があると思いますが、時間に追われて余裕が少なくなってきた時には自然を感じたり、非日常的な安らぎを体感したり、上手に暮らしの中にそれらを取り入れることができれば瞬間的にでも気持ちの余裕を取り戻せると考えております。

厳選した自分好みのものに囲まれながら暮らすことは生活に”はり”を与え、自分ならではの生活の質を上げる事が出来るのではないでしょうか。
そして何より暮らしそのものがより一層楽しくなると思います。

設計者として皆様の暮らしに求められることは何かを真摯に考えながらかつ、
地震に強い耐震性能、電気・ガス代の消費を少なくする省エネ(断熱・気密)性能、長く暮らすことが出来る耐久性能なども合わせながら検討しご提案させて頂きたいと思います。

鈴木清澄