行間

”「あなたの住みたかった家はこういう家でしょう」と、依頼者が言葉にできなかった想いを形にすることができ、それがただ単に依頼者を喜ばせるだけでなく、深いところで建築的なテーマも溶かし込むことができたら・・・・・・。”

16年前に発刊された「住宅の手触り」で、若々しい中村好文さんが語っている言葉です。

”要望通りにつくって喜んでもらうだけでいいのなら、よく気の利く、気配りのできる「ご用聞き」であればいい”

ので、わたしたちは必要ない。その通りだと身が引き締まる思いがします。

本では ”そのために要望書の行間を読む眼力や想像力が必要” と続きますが、そうして形にしたことを ”そうか、こういう暮らしがしたかったのだ” と気付いて頂くための「伝える力」も、必要なことだと日々感じています。

真意に目を向け、そっと気付きを与えていく。そんな設計士でありたいと思います。

鈴木孝明