「むつびの家」の記録 計画編

今週末(3/12,13)開催するリフォーム完成見学会「むつびの家」について、設計の経緯や工事内容について、ご紹介します。

完成した家の質感や暮らし心地については、是非現地を体感して頂きたいと思います。
新築とリフォームの両方で検討している方、中古住宅を購入してリフォームを考えている方にもご参考になる建物です。

改修前(Before)写真とともにお施主様のご要望を挙げていきます。



キッチン

・システムキッチンは古く汚れが落ちないため、交換したい。
・外壁を向いた配置を対面キッチンに変更したい。
・天井付近の収納は手が届かないため、なるべく低い位置に収納をつくりたい。



ダイニング

・リビングと一体の広々とした空間にしたい。
・南面の窓を大きく、明るい部屋にしたい。



浴室

・とにかく寒いので、なんとかしたい。
・タイルの床、壁は古く汚れているので、ユニットバスに交換したい。



玄関
・物はなるべく置かず、すっきりしたい。
・柱は無垢できれいなので、そのまま見せたい。
・式台は名栗(なぐり)加工の無垢板に交換したい。
・一部床が凹むので、補強して直したい。


約40年前の建物ですので、サッシは1枚ガラス、断熱材もほとんど入っていませんでした。
断熱性能の向上と、設備機器の交換、古くなった内装の新調を中心にリフォーム計画を提案しました。


リビング・ダイニング・キッチン

長時間を過ごすダイニングや居間は、一体の空間となるよう間取りを変更し、
床、壁、サッシ、天井全てを撤去、刷新する計画としました。
キッチンは対面形式に配置変更し、背面収納は製作家具としました。
無垢のフローリングと天井、家具の質感を統一し、全体の調和を図っています。



玄関

時間と共に美しく変化した土間の石張り、柱、天井板はそのまま残し、
劣化したフローリングの交換、(ご要望にある)式台の新調、下足入や照明等、
古くなったものの入替を計画しました。
残す部分と交換する部分の取り合いの施工方法、新旧の素材もちぐはぐにならないよう慎重に選定します。
このような部分が改修計画の難しいところであり、新築には無い良さが出る部分です。


その他の部屋も建具やガラス、壁紙等、
古くなった部分を修繕・交換し、コストバランスを見ながら工事範囲を計画しました。

この家の屋根は瓦、外壁はリシンかき落としに塗装でメンテナンスがされており、
外装はそれほど劣化が見られませんでしたので、内部の改修に集中することができました。
しかし、サッシの交換は外壁の再施工が伴いますので、
外壁の解体は最小限になるよう、工事内容とコストを十分に検討しています。

このように、改修計画はその家の状態や今後暮らすであろう年数に応じて、
計画内容、コストの掛け方は本当に様々です。
今回は耐震に関してお話していませんが、築年数によって耐震強度も異なります。
また既存図面の通り施工されていない建物も少なくありませんので、
まずはきちんと、知識や経験のある者が調べることがとても大切です。

次回は工事編を予定しています。
完成したら見られない「家の内側」もお話しますので、楽しみにして頂ければと思います。

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増田光