変わらずに変わる?
「まぁこのままでいいかぁ。」
日々しごとをしながら、そんな風に考え、口にする事が度々あります。
考える事は時間が掛かる、
変える事は責任が伴う、
新しい事はリスクが伴う、
ヒトにはリスクや責任から自身を守るために、新しい事に挑戦したり、変える事を本能的に拒絶したくなる働きがあるのも事実だと思います。
反面「変わらなければ生き残れない」もよく耳にし、目にする言葉です。生き残るために変わる必要がある。
誰かが責任と危険を冒して挑戦する、変えていく。我々も正にそのような状況に直面していると思います。
しかしながら「変えたくない」は甘すぎて、「変わらなきゃ」は尖りすぎていて重い言葉に感じます。
その間に「変わらずに変わる」という考え方もあると思います。
たとえば「伝統を守る」という言葉は一見、「変えずに頑なに守っていく事」のように感じますが、守るために時流に合わせながら変える事もあります。
何かのTV番組で老舗の人気ラーメン店のオーナーが少しずつ味付けを変えている、と話しておりました。その時代のニーズに合わせながら顧客が気づかない様に。
ドラえもんやミッキーマウスなど、永く愛されているキャラクターもその時代に合わせながら、変わらずに変わっていますよね。
サン工房でも「日本の家をつくる」という言葉を掲げておりますが、イコール昔ながらの日本の家をそのまま造る、頑固に変えないという事ではありません。
永く持続してきた技術、素材、考え方に再び光を当て、時流や環境の変動に応えながら、建物性能やデザインをアップデートしていく。それが伝統を守る事にもつながると思います。
その過程であからさまに変わったと感じない事も大切で、永く愛され、懐かしさや愛着の感じる住まいが良いと思います。
随分と抽象的なお話になってしまいましたが、仕事だけではなく自身の想いや志も、大切なものは芯に残しながら変わっていく。
「変わらずに変わる。」
この格好良いことばに憧れつつ、常に頭のどこかに忘れずにして設計活動に取り組んでいきたいです。
岡本 茂揮
↓他設計者ブログリンク
変わらない和の良さ(大西)
職人技術(藤井)