「呉松町の家(仮)」の設計主旨や詳細計画についてご紹介します。
計画地は浜松市西区呉松町。 しだれ梅が有名で、毎年春先には観光客が訪れます。 町並みは「田舎」という言葉が似合う、のどかで遠くの山が見渡せるような環境です。
敷地北側からの写真です。 西面以外は道路に囲まれており、南北で1mほどの高低差があります。
南側の広い道路から。 レンガの外壁の蔵の敷地の中に建っています。
樹木を伐採したところ。 遠くからでも目立つ、立派なお蔵です。 この建物をどのように扱い計画するか、設計の手掛かりになります。
■設計条件・住まい手の要望、暮らし方
・夫婦とお子様2人の4人暮らし。 ・軒の出た外観。 ・内観は白い壁で明るい。 ・仕事部屋+フォトスタジオコーナー。 ・友人知人と庭でパーティー。 ・既存の蔵を活かした計画。
全体の配置計画です。 東側は友人を呼んで(庭を含めて)広く使える空間に。 西側は仕事や休息のための私的な空間に。 玄関は緩衝空間としてそれぞれの中央に配置しています。 建物と蔵との間は周囲から囲われた場所となるため、テラス的に使うような計画をしました。 昼間は蔵と樹木で日陰をつくりお子様が遊ぶスペースに、 夜はライトアップして、友人が集まって食事したり談笑できるような場所になればいいなと思います。
南側外観のイメージです。 リビングは大きな窓を配置しましたので、蔵と板塀で囲っています。 また南側以外も道路に囲まれた立地ですので、各方位からの見え方は特に注意しています。
2階の屋根は傘を差したような「方形屋根」としました。 1階も2階と同じようなリズムで、「寄棟屋根」としています。
方形屋根と寄棟屋根の組み合わせ、各方位に軒が下がる形状です。 外観をまとめる意図もありますが、軒は日差しや外壁の劣化も軽減しますので、 見かけと性能のバランスを重視します。
構造計画は屋根勾配なりに梁を架ける「登り梁工法」を採用しています。 「内部は白くすっきり」というご要望でしたので、 天井高を確保しつつ柱や梁などが見えない空間を計画しました。
LDKのイメージです。 壁の少ない大きな空間とし、天井の形状や素材も変化をつけました。 窓の先のレンガの壁が周囲からの視線を遮り、日中でもカーテンを開けて暮らすことができます。 東面と南面は大きな窓を配置し、熱や光を取り込みます。 また窓の先に樹木を植え、緑のある風景を切り取ります。
家の裏側のイメージ。 「裏」を感じさせない外観を意識しています。 蔵の裏側に余白スペースがあり、車寄せて勝手口から物の出し入れができるようにしています。