先日、日々をしたたむ家が上棟を迎えました。準備から上棟を終えるまでの様子をご紹介します。
まず上棟に先立ち、土台や柱、梁といった構造材を大工がひと月ほどの間、手刻みで加工していきます。
ある程度加工が進んだ頃、お施主様を加工場にお招きして作業の様子をご覧頂きました。
家作りの過程も楽しんで頂きたいとの想いでお誘いしましたが
「大工さんとお会いして、寡黙で職人気質のような様子にとても安心感を覚えました」と
お施主様からお言葉を頂き、工事の前に職人と触れ合う機会にもなったことを嬉しく思っています。
刻みが一段落し、上棟が近づいてきました。
加工場から土台を運び入れ、基礎パッキンの上へ敷いていきます。
土台は白蟻の潜む土から最も近い位置にあるので、耐蟻性の高い県産材のヒノキを用いています。
人の手で墨付けされた土台を見て、ご近所の方も「これは機械の加工じゃないね」と声を掛けて下さいました。
いよいよ上棟初日です。
各現場から大工が集い、阿吽の呼吸で作業を進めていきます。
柱も土台と同様に、県産材のヒノキを使用しています。
柱を建て終えると、その上に「梁」を架けていきます。
レッカーと大工が息を合わせ、合図を交わしながら材料を運びます。
サン工房の技能大工も、若いながらに慣れた様子で作業しています。
伝統工法の担い手不足が懸念される中、こうして経験を積みながら、確かな家造りを後世に引き継いでいきます。
屋根の最高部の横架材「棟木」が取り付きました。
その棟木にリビングダイニングの勾配天井を支える、隅木を兼ねた「登り梁」を組んでいきます。
勾配で、且つ斜めに架け渡すこの材の加工は非常に難しく、技能大工もブログで度々取り上げています。
ブログ:隅木
ブログ:技能大工勉強会
材と材の接合部には「継手」や「仕口」といった伝統的な職人技を採用しています。
二人の大工が木槌でタイミングよく叩きながら組み上げていきます。
屋根の下地を支える「垂木」が組み上がりました。
こうして無事に上棟1日目の作業を終え、お施主様ご家族と上棟式を執り行いました。
上棟2日目。屋根の下地となる野地板を張っていきます。
屋根の防水を担う「ルーフィング」と、耐震性を担う壁の「耐力面材」を取付けて、上棟2日目を終えました。
これからの工程においても数多くの職人の手仕事が積み重なり、完成へと進んでいきます。