2023.02.01 施工中 上島の家 #02施工中の様子(前編)

設計コンセプトに続き、実際の工事の様子を紹介させていただきます。

まずは解体から着手します。
新居計画範囲に既存の建物や庭木がありますので、まずは敷地の整理をします。
今回は、主屋を仮住まいとして使用しますので、各部の解体に注意を払いながら工程組をしていきます。


↑工事車両の乗り入れや、建築中の駐車場確保の為、庭木や景石を取り除きます。


↑主屋より古くからあった木造の倉庫です。


↑主屋と木造倉庫の間には、2階建の建物が増築されていました。
こちらも解体しますが注意が必要です。
・主屋と構造が一体でないか?
・電気や水道の取り回しはどうなっているか?
・解体したことにより主屋に雨による漏水の危険はないか?
主屋を可能な限り綺麗に残すために、より繊細な解体作業が必要になります。


↑増築部分までの解体が終わり、主屋の元々の姿が現れました。

ただ、このままでは仮住まい中の雨風を耐えるには心細いため、簡易的に補修をします。


↑解体部分の補修が終りました。
漏水のリスクを最小限にできるよう下地を整え、防炎シートで保護しました。
新居の建築期間の約1年間、この状態となります。


↑解体作業も残すは、敷地乗入部分を残すのみです。
既存の乗り入れは間口が狭く、入りづらく出づらい状況でした。

今後の生活や建築中の車両の乗り入れを考慮し、乗入幅を2m拡張しました。


↑解体作業と並行して、大工加工場では柱や梁といった構造材料の加工も進んでいます。
大工職が図面を読みながら、木材に加工墨付けをしていきます。
部材の数は100を超えます。


↑さて、解体が終わった敷地では『地縄張り』という作業が行われています。
地縄とは、計画地に敷地の外形を落とし込んでゆく作業です。
この位置を基に、基礎ができ、建物が建ってゆきます。


↑地縄が張られると、基礎業者が基礎形状に地面を掘ってゆきます。
ここでアクシデントが発生しました!


↑掘方を進めていた一部より、瓦やコンクリ片などのガラがでてきたのです!

お客様に経緯を説明すると、何やら昔の汲み取り便所の跡のようでした。
汲み取り便所を辞める際にガラで埋め戻したのでしょうか・・・?
・・・真相は分かりませんでしたが、このままでは地盤の弱点になりかねません。
ガラを全て掘り出し適切な地盤改良を行います。


↑ガラが出てきた個所は、土とセメントは撹拌しながら締固めをしてゆくことで、
局所的な地盤力の低下を招かないよう配慮しました。

こういったアクシデントも古くからあるお宅ならではかと思います。


↑基礎の形に砕石を転圧しながら敷設します。


↑地面からの湿気を防ぐ「防湿シート」を敷きます。


↑基礎の鉄筋が組まれている様子です。
基礎の形状や鉄筋の本数は、一棟毎 構造計算を行い算定しています。
構造体は建物の寿命に直結しますので大切にしていきたいところです。


↑基礎の型枠が取れ、建物外形が分かるようなりました。


↑上棟式に先立って、土台伏せと柱建てを行いました。
いよいよ上棟式を迎えます。

↑上棟当日になりました。
大工職、レッカー職が各自の持ち場でテキパキと動き、建物が組み上がっていく姿は圧巻です。
構造材は全て、地元天竜の桧、杉を用いています。


↑各構造材はボルトにより引き合っています。
金属は外気の影響を受けやすい素材です。

このボルトが後々、建物の断熱性能に影響を与えないよう、発泡ウレタンフォームを吹き込みました。


↑こんな感じです。
後から施工できない個所なので、上棟作業と並行しながら作業を進めます。


↑延二日間の上棟作業が無事に終わりました。
ここまでくると建物の形が分かりますね!

手前の平屋部分が家族集まるパブリックなスペース、
奥の二階建て部分が各個室や水回りを集めたプライベートなスペースとなります。


↑上棟が終わると、室内工事に進みます。

床の下地、構造耐力面材や金物と取付、電気配線、防蟻消毒が進められます。


↑並行しながら外部では屋根葺き工事が進められます。

今回は、ガルバリウム鋼板を平葺きとなります。
板金職が屋根上でテキパキと、かつ繊細に作業を進めます。


↑建物構造に関わる工事、屋根の工事が終わると、第三者機関による『中間検査』です。
耐力壁要素や金物が図面と整合しているか、図面と現場を照らし合わせながら検査が進みます。
構造は、一棟毎に構造計算を行い、適切な柱・梁の寸法、耐力壁要素の枚数、バランスを厳しく算定しています。


↑中間検査が終わると、構造体を雨に濡れないよう外部工事が進められます。
防水シートが張られ、外壁の通気層が施工されます。


↑庇などはこのタイミングで取付られます。
この家では6.5m近い幅の庇も取り付けられました!

↑室内では断熱材の施工が進められています。
断熱性能は一棟毎に計算をして算出しています。


↑外部では、通気層の上に板が張られ、全面板張りになっています。
板張りの外壁ではありませんよ!
『木ずり』といって、左官外壁の下地となるものです。
この上に、左官職がモルタルを塗っていきます。

↑外壁の左官工事に先立って
庇部分の板金や、木部の塗装が行われます。


↑そのころ室内では床が張り出されました!
いよいよ造作工事が始まります。

2022年6月に解体が始まり、8ヵ月経ちました。

このように一軒の家は、沢山の職人の協力によって建てられています。

引き続き、なかなか見ることができない建物ができあがってゆく様子をご紹介していければと思います。
おたのしみに。

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