リフォーム記録
浴室改修工事 10【リノベーション・躯体補強施工編 アクシデント】
築年数、約26年目を迎えるお住まいの浴室改修工事です。
詳細解体を進行している最中でアクシデントを発生させてしまいました!
脱衣室床の解体作業中において、床下地合板を切断の際に給水管にも切断キズをつけてしまったのです!
工事においては、少なからずアクシデントというものは付き物ですが、さすがにこれはヤバかったです。一つ間違えば給水管が破断し大惨事となるところでした。
給水管には常に水圧がかかっている為、もし切断の域にまで刃が達していたとしたら、管から水が噴き出し一面水浸しとなってしまうところでした。とにかく刃先の出し寸法をギリギリにしていたので、大事には至らなかったのがせめてもの救いです。
すぐに水道業者と連絡を取り、スクランブル要請をかけました。
お客様にも一時水道使用ストップという、大変ご迷惑をおかけする結果になってしまい誠に申し訳ありませんでした。
既設の給水管が床下地合板にベッタリとくっつく形で配管されていたのです。
限られた高さの床下空間の為、おそらくは当時の施工においても限界があったことが推測されますが、要因がどうであれ管に切断キズをつけてしまったことには変わりなく、緊急で駆けつけてくれた水道業者にも、ただただ平謝りと感謝の気持ちで一杯でした。
すぐに駆け付けて損傷個所を直してくれたので本当に助かりました。お客様にも水道業者にも、ただただ申し訳ないという気持ちの中、
『これはさすがに回避不能ですよ。これは仕方ないですよ。』・・と、水道業者が一言。
この一言で、気持ちがだいぶ救われたのを覚えています。
その時の私は相手の都合よりも自分を優先させ、半ば無理やり呼びつけているわけですからね。
お客様には大変ご迷惑をかけてしまい、水道業者には緊急で来てもらい、双方に本当に申し訳ないという気持ちでおりましたが、このような仕事のパートナーがそばにいてくれることは本当に心強く、困ったときには助けてくれて、現場監理の立場として心から感謝いたしております。
すぐに修理をしてくれたおかげで、この日の作業を続行することが可能となりました。本当に感謝です。
・・・と、先ずは安心したのもつかの間
まさか、この他にも次なるアクシデントが待ち受けているとは。
解体した範囲の土間をよくみると、なんか湿っているようにも感じます。
いや、感じではなくこれは完全に湿っていますね。
周辺をよく見まわしてみると、洗濯の排水管にクラックが入っていました。排水管にはVU管が使われており、クラックが入っているところはジョイントのソケット部分です。
ここにクラックが入るということは、それ相応の外力が加わったことが想定されます。特にソケット部材は配管部材よりも肉厚の為、そんな簡単に割れるところではありませんし、通常であれば考えにくいです。
いつどの時点でクラックが入ったのかは定かではありませんが、このクラックから漏水していることに変わりはありません。
その中でも不幸中の幸いだったのが、給水管とは違い常に水圧はかかっていない為、甚大な漏水被害には発展しづらいということでしょうか。
どうしたものかと考えている最中、この時は当座としてのお客様の対応にも助けられました。
それは、一時的に洗濯機から伸びている排水ホースをソケットよりもっと奥に差し込むことで、漏水現象を発生させないという論理です。
なぜ私自身がそれに気付かなかったのかお恥ずかしい限りです。まだまだ修行が足りません。しばらくはご不便をおかけする形になってしまい申し訳ありません。
でもこのソケットをよく見ると、何か変なんですよね。
長さをカットしているというか、、通常のソケットの大きさではないというか、、
いずれにしても何らかの理由があってソケット自体に加工が施されていることだけは事実です。限られた床下空間での施工だった為、当時の職方においてもそれなりに苦労されたんだなということが、ここからもわかります。
今度は絶対に漏らせませんよ!
工事の進行に合わせて、しっかりと修繕していきます。
周辺を綺麗に掃除してから、脱衣室側の床下地の復旧を行っていきます。
既存の施工方法とは少しやり方を変えて、今度はOMソーラーの蓄熱土間部分に直接大引き材(おびき)を固定するようにします。
固定とはいっても、ボルトや金物を使うのではなく接着剤での固定と判断しました。
使用するのは、弾性の性質をもつ一液形ウレタン樹脂系接着剤です。
このような接着剤はいくつか種類はあるのですが、大きく区分すると
・変成シリコン系接着剤
・酢酸ビニル樹脂系接着剤
・ウレタン樹脂系接着剤
この3種類が代表格といったところでしょうか。
それぞれに接着剤としての特徴やメリットがありますので、そのような観点から判断して、今回はウレタン樹脂系を選択しています。
先ず一つ目のメリットです。
それは他と比較すると乾燥時間が早いことが挙げられます。だいたい12時間で期待できる強度に到達してくれるという点です。
例えば、夕方の5:00に作業を終了したのであれば、翌日の朝5:00頃には期待できる強度に接着力が到達しているという理屈になりますので、朝8:00~の作業に支障がでません。
他の接着剤も同等の強度を有しますが、硬化スピードにおいては幾分か軍配が上がるのではないでしょうか。
もう一つのメリットは微発泡性があるということです。
この点は重要ですよ。特に私の価値判断の中ですがね。
例えば、一般的な糊や木工用ボンド(白いやつ)などは、塗り付けた時の量よりも乾いた時の量の方が少なくなっていますよね。
微発泡とはこの反対で、塗り付けた量よりも乾燥過程において接着剤が微妙に発砲し、膨らむ性質を持っています。
この性質を利用して、僅かな隙間があったもしても発泡の原理により接着剤が膨らんでくれて、隙間がなくなるように充填効果が期待できるということです。
角材の自重における下に押さえる重力と、接着剤の発泡力による広がりで、土間コンクリートと木材の隙間がほとんどなくなり、ガッチリと固定できるようになります。
このジャンボガンに装填された接着材を使い切るくらいの気持ちで、ガンガン塗り付けていきました。
この日は作業終了時に合わせて接着剤を塗り付けて、そこに角材を乗せてグニグニと馴染ませなるようにして押さえつけ、接着剤を広げるようにし接着面を安定させて本日の作業終了としました。
これで脱衣室側の床下地材は、コンクリート面に完全に接着固定されるようになります。
浴室側においては土台の仮置きまでが完了したので、次はアンカーボルトの打ち込み作業と、土台の固定へと移っていくようになります。
現場監理 金原