リフォーム記録

浴室改修工事 12【リノベーション・躯体補強施工編 アンカー施工】

築年数、約26年目を迎えるお住まいの浴室改修工事です。

前回は、アンカーの計画と切断加工まで整いましたので、実際の打ち込み作業に移ります。

先ずは補強計画図とアンカー施工計画図の照らし合わせ。

これらの“躯体補強計画”と、“アンカー施工”の位置が干渉しないように気をつけて、土台にはアンカー用の孔と、集塵用の孔があけられています。

前回にちなんでアンカー部材も取り揃え完了です。

それでは、アンカーの穿孔(せんこう)作業開始です。

先ずは穿孔に先立ち、集塵機の先端ソケットを集塵用の孔にセットします。

こうすることで、穿孔中に発生する不要なコンクリートの粉を効率的に集塵してくれるばかりではなく、その後の孔の中の清掃にも高効率で貢献してくれます。

それになんといっても、穿孔における粉塵の飛散も抑えられるので、とても快適でクリーンな作業環境が保たれます。

お住まい中の建物ですから、少しでも粉塵の飛散防止には努めたいところであります。

それでは穿孔開始です。

極力垂直を保ちながらハンマードリルで穿孔していきます。

撮影の為この画像のドリルの回転は止まっていますが、実際の作業では回転+打撃の穿孔となるので、それ相応の振動が伝わってきます。

機械の安定を意識しながら穿孔作業を行います。

集塵しながらの穿孔ですので作業のしやすさは抜群です!

穿孔中もどんどん不要な粉を吸ってくれるので、ドリル刃の切れもよく快適にコンクリートに孔があけられます。

ちなみに回転しているとこんな感じ!

ドリル刃の長さも色々ありますが、土台の上からの穿孔ですので長めのドリル刃を使用しました。

穿孔した直後の孔の中です。

どうです?! ほとんど粉の残りもないですね。

実にクリーンな作業環境です。

でも絶対にこれで良しとしてはいけません。

ここからが最も重要な作業です!

目には見えていないだけで、穿孔した孔の中にはコンクリートの粉がたくさん付着しています。

ケミカルアンカーの接着力にとっては、この粉の付着が大敵であり、接着力を著しく低下させてしまう原因となります。

したがって、穿孔後はしっかりと孔の中を清掃して、不要な粉を除去することがとても重要な作業となります。

とにかく綺麗に掃除する! これが絶対で大前提です。

ごく一般的には、金属製のワイヤブラシで手作業ですが、インパクトドライバーなどにも装着できる専用のナイロン製のブラシもありますので、今回は伸縮ソケットと併用しながらこちらを使用しました。

少しゆっくりめで回転させながらブラシを上下に動かして、孔の中に付着したコンクリートの粉を取るようにします。

個人的な感覚としては、あまり回転が速すぎるとなんとなくブラシの当たり具合が良くないような感覚がします。

なんとなくブラシが滑ってしまっているような感覚というか、あくまでも感覚の話です。

手から伝わる感触も確かめながら、しっかりと孔の中をブラッシングします。

本当は金属製のワイヤブラシを使ってガシャガシャやりたいんですけどね。。。

是非とも深さ270mmまで届く、金属製の長いワイヤブラシを作ってほしいです。

◆金属製ワイヤブラシ

 

さて、当然ですがこれをすると粉のカスが孔の中に溜まりますのでさらに除去が必要です。

屋外であれば、ブロワなどで吹き飛ばしたりもしますが、屋内作業でこれをやると大変な事になりますので集塵機で吸い取るようにします。

先ほどの集塵ソケットの先端にアンカー用ノズルを装填して、孔の奥深くまで届くようにしっかりと吸塵します。

ブラッシング → 吸塵

ブラッシング → 吸塵

ブラッシング → 吸塵

最低でも、3回以上はこの作業を繰り返し行います。

接着力に大きく影響を及ぼしますので、一番重要と言っても過言ではないと思います。

 

ケミカルの挿入前には、高さを確認しておきたいですね。

既定の穿孔長さは110mmですが、+5mmして安全側にしています。

続いてケミカルの挿入です。

カプセル内の接着剤の流動性も確認して、穿孔した中にカプセルを挿入します。

打ち込みの際は、手から伝わるケミカルの潰れ具合の感覚も確認しながら、少しずつ打ち込んでいきます。

この時、ボルトを手で少し回転させながら打ち込んでやると、より良い撹拌がされる気がします。

また、打ち込む時にはボルトのネジ部分が損傷しないよう、ナットを装填した状態で打ち込むと失敗しにくいです。

アンカーボルトを打ち終わりましたら高さを確認します。

同様に、ホールダウン用アンカーボルトも打ち込みます。

ここまでがアンカーボルト打ち込みの一連の作業となります。

冬季での作業環境につき、ケミカルアンカーの接着硬化には長い時間が必要となります。

安全をみて一晩の養生時間とし、ナットの本締めは翌日以降としました。

 

しっかりと理屈を理解し手順を踏めば、決して難しい作業ではないですよ。

なんでもそうだと思いますが、一工程ずつ確実に進めていくことが大切です。

これでようやく、構造躯体の補強部材を組み立てられる状態となりました。

次回は、この躯体補強部材の組立て作業に移っていきます。

 

現場監理 金原