リフォーム記録
木製バルコニー改修 04【修復再生・事前加工】
築年数、約18年目を迎えるお住まいの木製バルコニーの改修工事です。
現地での採寸とクセ取り(ひかりづけ)が整い部材の加工段階に入っていきます。
計画図面と作成した板図を元に加工を進めていきます。
先ずは加工する為の形状を材料に記していくことが必要です。
これを建築用語では”墨付け”(すみつけ)と言います。
一昔前は”墨つぼ”(すみつぼ)に墨汁や朱墨などを入れ、”墨差し”(すみさし)と呼ばれるもので線などを記載していましたが、それも時代と共に変化していき昨今ではボールペンや鉛筆、また油性ペンなども用いられております。
墨付けを行い加工された部材がこちら ↓ ↓ ↓
このように材料に加工を施す作業のことを、建築では”刻み”(きざみ)と言います。
電動工具や手道具などを用いて、墨付けに基づいた形状に加工していきます。
クセ取りした板図と照らし合わせて確認することができるので高い安心度があります。
一通りの加工が整った状態がこちら ↓ ↓ ↓
そして前回お伝えした柱の継ぎ手の金輪継ぎも完成しています
金輪継ぎの組み勝手はこのような感じになります。
実際に組む際には、双方の材料の中間部分に込み栓を打ち込むことで、それぞれの材料が引き寄せられるような形になり材料同士が強固に緊結されます。
ここで組立前に施しておきたいのが事前の塗装です。
組んでしまった後では塗装できなくなってしまうところが当然として発生します。
このような箇所を事前に塗装しておくことで、より安心感も高くなり水湿に対する耐久性もUPします。
後々では見えなくなってしまうところ。
後々では手の施しようがなくなってしまうところ。
このようなところこそ絶対に手を抜いてはいけませんね。
表向きには目に見えないところになる為評価はされにくいですが、お客様には少しでも質の高い仕事と安心を提供したいと思っています。
継ぎ手で重なり合う割り肌面や、それぞれの仕口の重なり部分、柱のホゾ穴の中など、後からでは絶対にムリですよね。
重点的にこのような箇所を先行で塗装しておきます。
塗料メーカーの推奨は2回塗りが基本となっています。
したがって、このようなところも1回塗りではなく2回塗った方がより安心感が得られるってもんです。
見比べてみるとしっかりと塗装されているのがよくわかります。
これで組立て前における塗装の2回塗り工程が完了です。
皆さんもDIYなどで何か製作されることがあるかと思います。
その際は、後からでは塗装できなくなってしまうところを優先的に、組立の前に塗装しておくことをお勧めしたいと思います。
これも長持ちさせる一手間です。
これで構造部材の加工と塗装が終了しましたが、埋木の加工も整えておきたいところです。
ビスが丸見えよりも、見えない方が格好良いですからね。
今回も修復にあたっては構造用のビスを使用します。浴室改修工事でも使用した強度の高いビスです。
構造用のビスだけあってビスの頭部分は大きく直径18mm程度あります。
したがってこの大きさに対応できる埋め木の製作が必要とされます。
最近ではホームセンターなどで丸棒が市販されていますのでとても便利で助かります。
しかも材種はベイヒバなのでヒノキチオールという成分を含んでおり、桧同様に水湿に強く素材としても安心できる材料です。
この丸棒を金太郎飴のようにザクザクと切断していきます。
ただ切断しただけでは打ち込みにくいので、機械を用いて面取りをしていきます。
グラインダーの使い方が少々危険ですが自己責任なのでそこはご容赦を。
面取りが済んだ状態がこちら ↓ ↓ ↓
これで埋め木が完成です。
埋め木とはいっても、その用途に応じた色々な形があります。
四角形だったり、楕円形だったり、その場その状況に合わせた形で製作されます。
意匠を凝らした”ひょうたん形”のような埋め木もあったりしますね。
今回は丸形状ですが、なんとなく樽のような形にも似ています。
このことから用途は埋め木ですが”樽栓”(たるせん)などと言ったりもします。
これでようやく施工前の事前準備が整いました。
昔から”段取り八分の仕事二分”とよく言います。
建築に限ったことではなく、できることは極力事前に済ませておきたいものです。
いよいよ現地での組立て作業と、修復と再生を合わせた施工に移ることができます。
次回は実際の組立てと修復再生を行っていく様子をお伝えしたいと思います。
木製バルコニー改修 04【修復再生・事前加工】
現場監理 金原