リフォーム記録
磐田市の平屋リノベ 05【仕上工事編①】
磐田市の築30年の平屋戸建住宅のリノベーション。
前回は大工工事について触れました。今回は仕上工事についてお話します!
こちらが大工工事完了時の様子です。
仕上工事は主に内装工事と設備工事があります。
内装工事には各部塗装、壁・天井のクロスや左官の仕上げ、設備工事にはキッチンや給湯器等の機器設置、電気、ガス、水道の接続等があります。
まずは塗装工事から。
キッチンの天井板材を塗装しています。
塗料は木材に浸透する、(内装用の)臭いの少ないものを採用しています。
色はブラックとしました。
既存の飴色の天井と差をつけるのと、木の節を目立たなくすることを意図しています。
塗装前と比較すると空間が引き締まって見えます。
色がヒトの感覚に与える印象は大きく、正直なところ毎回かなり悩みます…。
材料そのものの色を活かすこともありますし、このように着色してアクセントにすることもあります。
設計者として「センスが問われる」ところなのだと思います。
床と壁との取り合い部「巾木」も塗装しました。
こちらは黒でなく、既存の木枠の近似色に。塗装職人の「色の再現性」には頭が上がりません。
出窓の木製カウンター。
手を触れるところですので、電動サンダーで表面を均してから塗装します。
こちらはキッチンと同じブラックに。
既存サッシ色とも近く、馴染みが良さそうです。
実はこのカウンター材、この家で使用していたテーブルを再利用しています。
工事前に採寸し、どの部分に使用できるか検証していました。
脚は廃棄し、天板のみを利用しました。
このままでは使用できませんので、表面を削り、サイズを調整し、先ほどの通り復活を遂げています。
私たちなりの「アップサイクル」とでも言いますでしょうか。
このような工夫も建築工事の醍醐味のひとつです。この家「ならでは」で良いですよね。
塗装が完了したら、次はキッチンの据付工事。
沢山の箱が搬入されました。
一般的に、キッチンは収納と天板に分かれており、現場で組み立てます。
このように、まずは下台となる収納部を組立てます。
収納本体も現場搬入が出来るよう、いくつかに分割して製作しています。
ちなみに、キッチンがブラックと決まっていたので、キッチン天井等の塗装はブラックを選択しています。
収納を組み終えたら、天板を乗せます。
ステンレス製のシンク一体型。先ほど塗装した天井がちらっと見えますね。
上手く納まりました。
幅は約2.6m、奥行約1.0mの比較的大きめなカウンタートップです。なかなかの存在感。
換気扇や水栓、コンセント、キッチンパネルを取り付けて作業完了。
「スタディオン」というメーカーのオーダーキッチン。
サイドパネルのコンセントもオリジナルだったりと、各所にこだわりを感じます。
キッチン据付も問題無く完了。次は壁と天井の仕上げです。
「漆喰(しっくい)」という塗り壁の仕上げですが、まずは下地の処理から。
石膏ボードのジョイントをパテで埋めていきます。この作業をしないと、完成時にジョイント部分が線状に浮き出ます。
コーナー部分は割れや欠けが発生し易いため、それを防ぐための専用部材を取付けます。
「コーナー定規」といいますが、ここでは角が曲面のものを使用しています。
穴が空いている部分は最終的には壁の中に入り、仕上がり時には角だけが見えるようになります。
その作業を終えて、いよいよ壁を塗っていきます。
このように職人が鏝(こて)を使用して平滑に仕上げます。
壁が薄グレー?。そうです、これはまだ下塗りです。
塗っているのはプラスターと呼ばれる、下塗り材です。
袋に記載の通り、下地調整や下地材のアク止めのために使用します。
既存の壁紙の上からプラスターを塗っています。
塗り壁材は水分を含むため、下地材の影響を受けやすいのが特徴です。
リフォームの際は特に、この下地処理をしておかないと後に大変なことになります。
こちらは既存のクロス。当然ですがジョイントがあります。(人差し指の先の辺り)
ここも、仕上り時に影響を受けやすい部分です。剥がれる可能性も考えられますよね。
壁を塗る前に、ステープルで処置をしました。
念には念を。
全箇所確認しながら、徹底的にジョイントを埋めていきます。
年季の入ったコンセント、こちらは交換する予定です。
見ていると簡単に塗っているように見えるのですが、やはり職人。
素人の私たちが塗るとこのように平滑には仕上げられません。
鏝も沢山種類があり、場所や仕上方法に応じて使い分けます。(職人の使う道具も、いつか紹介したいと思います。)
表面をつるつるにしたり、ザラザラにしたり、あえて鏝の跡を残したり、模様をつけたり。
古くから日本の建築に用いられてきた技術であり、とても奥が深いです。
漆喰仕上は「パテ処理」「下地塗り」「シーラー塗布」「仕上塗り」と工数が多い仕上方法です。
下塗りをしただけでも、ぐっと雰囲気が変わりますね。
壁がきれいになると、周りに見える緑や空がよりきれいに感じます。
今回はここまで。
次回は左官の仕上から、いよいよ完成前の最終確認です!
設計:増田