リフォーム記録
大規模リフォームの軌跡2 【ご自宅訪問 前編】
2021年1月
お電話をいただいてから具体的なお話をお伺いするのは、年を越してからとなりました。
年頭のご挨拶を兼ねまして、先ずはご自宅にお邪魔させていただく事にしました。
さっそく具体的な相談内容などのお話を伺う場合もありますが、どうしても方法論などが先行してしまいがちであり、なぜそのようにしたいかという想いまで汲取れないことがあります。
それではいけませんね。先ずはお客様の想いと気持ちを汲み取り、なぜそのようにしたいかなど、なるべくフラットな気持ちでお客様の普段の日常生活を伺いながら、いろいろな情報を五感で感じ取ることがとても大切な事だと思っています。
50年生きてきますと言葉というものほど、とても曖昧で成立しているんだということを痛感してきました。同じ日本の共通の言語でありながら、話し手と受け手の間での理解や、伝わり方の重みや深さ、また年代、環境、地域性など、その人の人生に影響してきた経験と現状のお互いの関係性やその時の心理状態などによって、少なからず”相違”が生じます。そこがまた難しくもあり面白いところなんでしょうけども。
運転中は、あれを聞こう、これを聞こうなど頭の中では思考を回転し、順番に整理しながらクライアント様の家に向かいます。初めてご自宅に伺う際も、ドキドキわくわくといった高揚感があります。
目的地付近に着きましたので、セットしたナビが案内の終了を告げます。と同時に、この高揚感とドキドキ感がさらに高まるのがわかります。
初回訪問では毎回ナビ頼みですが、時には翻弄させられることがあります。少し手前で案内が終わってしまうことが度々ありますので、多分この辺かなとゆっくり進むと立派な門塀がありました。表札のお名前を確認でき現地到着です。
周囲に注意を払い門扉に車をぶつけないようゆっくりと停車し、ここで一呼吸です。
エンジンを切って、降車し鞄を持ちます。
車の鍵をかけ、門に向かって立ち止まり、ここでまた一呼吸です。『お邪魔いたします。』と心で気持ちを込めて一礼します。引き戸の門をガラガラと開けるとレールの上を転がる戸車の音が、丁度良い感じの心地よい音色で聞こえます。風情がありますなんて悠長なことを思ったのもつかの間、早速、元気のよいワンちゃんが吠えまくって出迎えてくれています。
(ここで余談ですが、昨今、15歳未満の子供の人口より犬猫の飼養頭数のほうが多くなっているとのことで、ペットと暮らすご家庭は当たり前のようになってきています。)
今回のご自宅でのお話は、ご家庭での暮らしぶりを拝見することや、日常生活についてのお考えをいろいろとお伺いすることです。現在ご使用されていらっしゃる家具や家電であったり、趣味のことや、老後の生活についてのお考えによっては、間取りの変化の必要性や、お部屋の構成の変更にも考慮する必要がございます。
現在の生活のご不満や心配事のなど改善することも大切ですが、いろいろな部分で将来の準備としてのこれからの暮らしのことを一緒に考えて、想像していくことも大切です。それがリフォームでありリノベーションです。
下見は、現状からどのような形にリフォームをするかという現実的な計画になるのですが、その前の段階の、クライアント様の要望にしっかり耳を傾け、たくさんのお話しをすることの大切さはいかに大事なのかということを実感しています。先に話したように互いの捉え方の微妙な違いは、お客様の満足にも影響してしまうんだという事を経験してきました。お顔を拝見しながら、その表情も併せてお話ししないと正確に伝わらないことは多々ありますので、シンプルに、フラットな心持で、お会いしてお話しすることが一番重要な事だとどうしても思ってしまうのです。
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