リフォーム記録
磐田市の平屋リノベ 06【仕上工事編②】
磐田市の築30年の平屋戸建住宅のリノベーション。
前回は内部仕上工事を半分ほど、レポートしました。
今回は後半戦。塗り壁の仕上工事からお届けします。
壁は主に漆喰(しっくい)仕上げ。漆喰は城の外壁や七輪に使われるような材料で、防火性があります。
姫路城のあの白い外壁も、漆喰仕上です。
また強アルカリ性で抗菌作用があり、ウイルスにも強いと言われています。
原材料である消石灰に水や糊を混ぜ、塗り壁材にします。
白が強く、平滑に仕上げられるのが漆喰の特徴。
表面がつるつるになるまで何度も鏝(こて)で押さえます。
このように照明を当て、鏝の跡が出ていないか確認します。
水分が抜けた後は壁の白さが増し、窓からの光や照明に反射するほどつるつるになります。
最後の最後まで、抜かりなく。
何十年もこの仕事を続けてきた親方の最終チェックが入ります。
翌日の壁が乾いた状態も確認し、納得いくまで仕上げ続けます。
まさに職人の技。仕事に対する誇りが、ここまで時間を使い手を動かす原動力なのだと思います。
左官職人の使う道具。鏝だけでも沢山の種類を使い分けます。
自分の手に合うもの、塗る壁の広さや塗り壁材に応じて、道具を選ぶのだと思います。
私たち設計者が筆記用具にこだわるのと似ているような気がします。
塗り壁の最終仕上げと同時に、建具の吊り込みが進んでいます。
以前は障子がはまっていましたが、外の景色が見えるようにと、木製のガラス戸に交換しました。
外と内の間に空気層ができ、断熱効果も期待できますし、
アルミサッシのアルミ枠が見えなくなりますので、見かけにも美しいです。
建具の調整が済んだら木部の塗装。オイル系の浸透性塗料です。
塗装することで手触りがしっとりしますし、色馴染みも良くなりますので、
私は「手が触れる木部」はなるべく塗装するようにしています。
敷地内に樹木がありますが、その先の公園の樹木も眺められるようになります。
室内建具ですが、木製サッシのように見えますね。
中央の横桟は建具の反り防止が目的ですが、網戸のそれと高さを揃えているのが分かりますでしょうか。
網戸の存在が消え、ちょっとした工夫ですが視覚的効果は大きいです。
既存の木製引戸も改良し、滑りを良くしました。
建具業者が減っている中、こういった細かな仕事ができる職人はとても貴重です。
後ろにちらっと見えていますが、コンセントやスイッチも交換しています。
これまで触れてきませんでしたが、トイレも改修しました。こちらは工事前。
内容は便器の交換と床壁天井の模様替え、手洗器の撤去です。
便器と手洗いを取外し、床と壁を張替え、新たに便器を設置しました。
便器にも排水管の位置を調整できる「リフォーム用」があります。
リフォーム工事ではこのような「調整できる既製品」が重宝します。
解体作業無しで済みますので、手数が減り、工期短縮や材料費や施工費のコストダウンが図れます。
オリジナルで製作した収納棚。
トイレットペーパーがぴったり納まるサイズで設計されています。
埋込手洗いのあった位置に、同じように埋込みました。
リモコンやペーパーホルダーの位置も使いやすくちょうど良い高さに納まりました。
この辺りの設えは職人や現場監督の「現場力」です。
工事の9割ほどが完了したので、クリーニングを行います。
作業していない部屋も埃や木の粉が舞っているので、床壁天井を隈なく掃除します。
サッシ廻りは溝や隙間が多いため、人の手によって隅まで拭き取ります。
清掃業者も道具が沢山!(こちらもいつか紹介したいと思います)
養生が外れ、キッチンが姿を現しました。かっこいい。
天板もきれいに拭き取り、ツヤツヤのピカピカです。
掃除後の風景。
この辺りにくると、工事の序盤を思い出し感慨深くなります。
このあと細かな傷や汚れのチェック、家具や建具の建付けの確認、工事前に外した手摺などを復旧し、いよい完成です。
内部の工事はこれで完了、次回は外部工事をご紹介します!
設計:増田