リフォーム記録
浴室改修工事 13【リノベーション・躯体補強施工編 薬剤散布】
築年数、約26年目を迎えるお住まいの浴室改修工事です。
前回は、アンカーボルトの打ち込みまで終了しましたので、構造躯体の補強に移っていきます。
と、その前に前々回の脱衣室の床下地から。
大引き(おびき)や根太(ねだ)と呼ばれる下地組も完了しています。
例の角材も土間コンクリートにしっかりと接着固定されています。
接着剤も見事に発泡してくれて角材も微動だにしません。
ここはOMソーラーの床暖房範囲となりますので、断熱材もしっかりと復旧していきます。
シーリング材を用いて基礎と土台に接着固定をします。
今回の損傷では白蟻被害も見受けられていますので、復旧にあたっては防蟻性能を有した発泡系断熱材を使用しました。
この断熱材を使用することで、より安心度が高まっています。
サン工房の新築工事でも、この断熱材を使用していますので安心度が高いです。
こちらです⇒◆シップスジャパン パフォームガード
またその周辺には、発泡ウレタンフォームを併用して、より隙間を無くして断熱性も高めています。
それでは、浴室側の躯体補強に目を向けましょう。
繰り返しになりますが、補強計画のおさらいから。
これを実際の施工に移していきます。
現場合わせで採寸をし、所定の長さや形状で加工してから組みこんでいきます。
ここで一時ストップ!
今度はアクシデントではないですよ 笑
この状態でやりたいことがあるんです。
それは防腐防蟻剤の散布ですね。
ご承知の通り、既存の耐力壁合板も損傷しておりますが、外壁が絡んでおりますので交換ができない状態です。
だからといって、これ以上腐朽菌の増殖や損傷が進行するのは抑えたいです。
したがって、あまり新規の補強材を入れ過ぎてしまっては、既存の耐力壁合板にしっかりと薬剤散布ができなくなってしまいます。
そこで、大工職には一時作業の手を止めてもらい、この時点で一回目の薬剤散布を行うように判断しました。
この状態で作業することで、全体にしっかりと薬剤散布をすることが可能となります。
土台から1m付近の高さまで散布です。
厳密には違うと思いますが、防腐防蟻の散布薬剤をざっくりわけると『油性』と『水溶性』があります。
一昔前の薬剤としては、当時の品質基準的にも耐用年数も長く、それに比例して防腐防蟻性能の効力も高かった時代があります。
当時はそれでよかったのです。とにかく効果が最大であれば。
『これやっておけば、10年は大丈夫だよね』
・・確かにこんな時代もありました。
しかし、時代背景の移り変わりとともに人体への悪影響も唱えられてきて
“効力最優先” → “人体の健康や環境に配慮”
こちらの考えが重視されるようになってきました。
これらのことから、時代と共に製品改良が繰り返され、品質的にも現代の基準や考え方に見合った製品に至っている経緯があります。
シックハウス症候群もその過去の一例に含まれますね。
今回の修繕では、
一回目に『油性の散布』を
二回目に『水溶性の散布』を
このように判断しました。
想像してほしいのですが、木材に『油』と『水』を垂らした場合、どちらの方が染み込んで乾きにくいと思います?
私の個人的価値観では『油』な気がします。
・・いつまでも乾かないというか
・・表面に染み込んでくれるというか
・・滲んで長くとどまってくれるというか
なんとなくこの特性を優先させたいと判断しました。
ただ少々匂いがね、キツイんですよね。
今回の躯体補強では、最終的には内側から全面を耐力壁合板で覆ってしまうので、相応に匂いもシャットアウトできます。
そこで内部となる躯体部分にはこの『油性』の防腐防蟻剤を散布しよう!・・こう判断したわけです。
現代の新築物件ではほぼ使用されませんが、その効力と効果は抜群です!
知る人ぞ知る『キシラモンエースA』!
お墨付きある良い製品ですよ。
ウチのとっておきである、とても貴重な薬剤です。
これを、余すところなくしっかりと散布していきます。
薬剤の特質上少々匂いもキツイ為、換気しながらが必須ですね。
入り組んだ部分や、狭いところもしっかりと薬剤散布していきます。
私、何気にこの作業好きかもです 笑
ついつい夢中になってしまいました。
しっかりと薬剤散布もでき、気持ちの上でも納得ができましたので、引き続き躯体補強の作業を進めていきます。
真新しい柱や間柱などが整然と順次入れられていきます。
質実と合わせて見ているだけでも安心度が高まっております。
ここまで進むと最初の頃の損傷具合が、はるか昔のことの様に思えてしまうのも不思議な感覚があります。
油の染み込みがしっかりわかるのも安心できますね。
さて、木造躯体の柱には基本的に“ホゾ”という加工が施されています。
画像はGoogle参照⇒ホゾ
しかし今回の補強工事では、このホゾの入れ込みが物理的に不可能です。
梁を上に上げることができませんからね。
したがって、補強にあたっては柱交換用パイプコーナーという接続金物を使用します。
こちら参照⇒◆㈱タナカ 柱交換用パイプコーナー
これはいい金物ですよ!
土台や柱といった、材そのものの欠損を最小限にしてくれるばかりではなく、引き抜き力に対してもとても高い効力を発揮してくれます。
設計者ブログにおける『磐田市の平屋リノベ』でも採用しています。
こちらもご覧ください⇒磐田市の平屋リノベ 02【構造補強編】
補強に使用する金物も質実共に安心感が増しますね。
昨今では様々な補強金物が開発されていますので、より確実で安心できる耐震補強工事ができるようになりました。
それは施工者側からしてもとてもありがたいことですし、結果としてより確かな品質の補強工事を提供することができるようになります。
お客様に安心を提供でき喜んでいただければ。
これが一番ではないでしょうかね。
着々と補強工事も進行しており、耐力壁となる筋交いも準備が整ってきています。
一工程ずつ進む毎に確かな構造躯体へと復旧しつつあります。
もう少し補強工事は続きますが詳細は次回にて!
現場監理 金原