コラム

なぜ、窓を断熱すると良いのか?

こんにちは、設計士の増田です。

今回はコラムの第1回、窓の断熱についてお話したいと思います。

高気密・高断熱仕様は現代の住宅のスタンダードと言っても良いほど、普遍的な住宅の性能だと思います。

高性能な断熱材が開発され、気密も断熱も10年前と比べても飛躍的に技術が向上しました。

上の図は、設計中の新築住宅の断熱性能計算結果です。

左が現在の法規による最低基準、右側が設計中の建物の性能数値、

そしてUA値は建物全体、U値は各部位の断熱性能を表しています。(数値が小さいほど高性能)

各U値に着目すると、窓の数値が他と比べて高いことが分かります。

右の「診断中の建物」も窓の性能を上げることで、基準より良いUA値を確保しています。

ここから窓の選択が建物の断熱性能に大きく関わることが分かります。

事実、大部分の熱の移動は窓で発生しています。

              (資料:YKK AP)

「半分以上!?」と驚く方もいらっしゃると思います。

私はこれまでにいろんな家を調査してきましたが、肌感覚としては夏よりも冬、特に窓際の寒さが気になります。

断熱性能の低い窓は冷気が窓を伝って足元に当たりますので、頭が暖かく足が冷たい、非常に不快指数の高い状態になっています。

 (資料:YKK AP)

足元が寒いので、遠赤外線ヒーターや石油ストーブなど、低い位置に暖房器具を置きたくなります。

築50年ほどの私の実家も、冬はストーブを手放せない生活をしています。

では窓の断熱対策をするとどのようになるのか、説明していきたいと思います。

上の表は、築20年の戸建住宅改修計画の断熱計算結果です。

内容としては窓の性能を上げるだけですが、開口部のU値が下がり、UA値も現在の新築基準に近い数値まで引き下げています。

ここで良いのは、各部位の数値差が小さいため、室温のムラ(寒暖差)が少ないことだと考えています。

「窓の近くは寒くて嫌だ」のようなことが起こりにくい、ということです。

工事内容としては、内窓の設置、窓ガラスの交換を想定しています。

(出典:YKKAP)

内窓の設置は、今ある窓の内側に新たに窓を設置し「二重窓」の状態にします。

そして窓ガラスの交換は、文字通り今ある窓のガラス交換。

      (資料:窓のコンシェルジュmadoka)

ガラスにもさまざまな種類があり、枚数が多い、空気層が厚いほど高性能になりますが、

改修工事では現状の窓枠寸法に合うものを選択する必要があります。

この工事によって、以下のような室内環境になることを想定しています。

(資料:YKK AP)

足元が冷えないのでヒーターは要らず、厚い靴下や冬用のあたたかスリッパを履く必要もなくなります。

そして、窓リフォームは結露対策や音対策にも有効です。

カビの原因となる窓の結露を防ぎ、周囲の音を遮ることも生活環境の改善につながります。

断熱改修は光熱費の削減効果は勿論ですが、ストレスの無い健康的な生活を実現できることが一番のメリットだと思います。

断熱材の交換よりも窓やガラスを交換する方が効果的です。

設計:増田

 

窓リフォーム補助金情報:先進的窓リノベ事業

マイホーム断熱診断:ホームズ君.com