メンテナンス事例

蔵の建具メンテナンス

オーナー様からお声がけ頂き、蔵の建具のメンテナンスを行いました。

「入口の建具が動かなくなってしまった」というご相談でした。

まずは現況調査から。

木材がかなり削れているのが気になりますが、建具を支えているレールも錆びて劣化が進んでいます。

レールの錆びも目立ちましたが、木材がスカスカで建具の重みに耐えられていませんでした。

地面に近いところで木材を使用すると、水分を含み劣化の進行が早いですね。

上を見ると、建具がレールから外れそうなぐらい下がっています。

大工や建具業者と相談しながら、元通りでなく少しアレンジして直すことにしました。

では、ここから復旧していきます!

まずは不要な部分を撤去。

跨ぎとなる木材は構造的に必要と判断し、残すこととしました。

建具を支える材(鴨居)も外していきます。

地面付近以外は特に損傷なく、状態は良好でした。

こちらが今回の鍵となる材料。金物にローラーがついたものです。

どのように使用するか、後ほど説明します。

新たに鴨居を取り付けています。

既存建物に合わせ、水平垂直を慎重に確認します。

ビスで鴨居を固定します。

木材のクセを見ながら水平になるよう押さえつけながら留めています。

ビスを留めた部分の穴は木材のフタ(埋め木)を施します。

先ほどの金具は建具を上から吊るためのものでした。

建具本体も巾があり、数十キロの重量がありますので、上吊り形式にして開閉がスムーズになりました。

ビス穴も見えなくなりましたね。

また、建具下には金物や木材が無くなりましたので、経年劣化対策としても効果的です。

開閉確認をして作業完了。

これまでは開閉が大変だったため、中の物が文字通り「お蔵入り」していました。

物が整理でき、生活も改善されることでしょう。

写真奥の小さな建物も、先日部分的に修繕しました。

(詳しくは下の画像をタップ)

必要なものを少しずつ修繕しながら、長持ちさせていく。

部分修繕が比較的容易なことも、木造建築の良さの1つだと考えています。

設計:増田