リフォーム記録
浴室改修工事 17【リノベーション・浴室組立て排水リスク回避】
築年数、約26年目を迎えるお住まいの浴室改修工事もいよいよ大詰めです。
解体から躯体復旧に対し、長い時間とたくさんの工数がありましたが、おかげさまで無事にシステムバスの組立てを行える状態になりました。
先ずここで気を付けたいのは、排水経路の “ダブルトラップ(二重トラップ)” にならないよう注意することです。
排水の時の配管内では、排水と空気また排水物が複雑に交わりながら流れていきます。
トラップ(封水)が連続してしまうと排水の流れに悪影響が生じ、流れが悪くなってしまいます。
流れる時に”ゴポゴポッゴポ”と鳴ったりするあのイヤな音 ←これです。
以前、このダブルトラップにも触れています。
少しでもリスクを回避する為に、いくつかの可能性を含めて既存の排水管の利用を選択します。
今回リスクの確率が高いのは浴槽側。したがって洗い場側の既存排水管を利用するように判断しています。
でも、もしかしたらそれぞれが単独経路ではなく土中で1系統になっている可能性も考えられます。
慢心せず、いくつかのリスクを考えながら対応することで、リスクへの対応と準備が可能となります。
洗い場側が単独経路であることを期待して工事を進めるよう判断しましたが、決して心配が払拭されているわけではありません。
上記の心配とリスクはあるものとの前提で、浴室の組立て工事に入っていきます。
先ずは架台の組立てから。
レーザー墨出し器を用いて、正確に高さを出していきます。
追い焚き用の配管も新品のハイブリッドホースに交換することで今後の安心感がさらにUPします。
システムバスの付属部材にも特有がありまして、排水部材にはクリア製のソケット部材などが用いられます。
このクリアソケットと色付きの接着剤を併用するメリットは、目視においてしっかりと接着確認ができることが考えられます。
さて、ここからがダブルトラップのリスクに備えた施工応用編です。
なぜ二重トラップがNGなのかはご理解できましたでしょうか。
今回は、システムバスにトラップ(封水)がありますので、もしかしたら地中に設けてある二号トラップとの干渉でダブルトラップになってしまうリスクは完全に回避されておりません。
そのリスクを回避する為に、排水管経路の途中に吸気弁を付加させるようにしました。
排水経路のリスクに備えたリノベーションです。
逆止弁が内蔵されているので、臭気が上がってくる心配もありません。
浴室下部は著しくスペースが限られるので、取り付けの位置出しは慎重に行います。
この吸気弁を中間に入れることで、配管内に空気を入れることが可能となり、ダブルトラップ現象による弊害を回避することができます。
接続するとこのような形になります ↓ ↓ ↓
そしてこのような仕組みとなります ↓ ↓ ↓
実際のシステムバスの下部では、このような排水の流れとなっています ↓ ↓ ↓
以前にもお伝えさせていただいてきましたが、後々見えなくなってしまうところこそ、絶対に安易に考えず決して手を抜いてはいけません。
先ずは、様々なリスクに対し幾度も考えることを忘れてはいけませんね。
経営の神様と言われた”松下幸之助”さんの言葉に、とても好きな言葉があります。
『一度考え直せば過ちがない』
『二度考え直せば半分過ち』
『三度考え直せば過ちだらけ』
『念には念を入れよ』
『仕事を完全にやり通すのに念の入れすぎということはない』
※『松下幸之助 日々のことば PHP研究所 編』より抜粋
巷には数えきれないほどのビジネス書や哲学書があふれていますが、商売や仕事において至極基本的なことだと思います。
ついつい先を急ぐあまり大事なことを見失わないように心がけていきたいものです。
手法だけに捉われることの無きよう、基本の姿勢と心構えは大事にしなければなりません。
これでようやく気持ち的にも安心できました!
その安心を、自信を持ってお客様に提供できることに感謝ですね。
ここまで整えば、後はスムースに浴室の組立てを進めていけます。
組立てが完了すれば、最終工程である防水シーリングです。
必要箇所にマスキングテープを貼って、綺麗にシール処理をしていきます。
これで浴室の組立て工事が完成です。
排水経路も安心出来ますし、
漏水の心配もなく安心出来ますし、
何よりもここまでの工事が無事に整ったことがとても安心です。
造り上げるということは、本当にたくさんの職方の協力があってこそだと常々感謝しております。
元請け、下請け、孫請けなどというレベルの話ではなく、頼もしき建築パートナーとしての良好な関係性を、今後も築き続けていきたいと思います。
それが結果として、お客様に安心と良い品質を提供できるものと信じています。
また施工の品質だけではなく、人としての品質も向上できるよう日々精進して参りたいと思います。
現場監理 金原