リフォーム記録
浴室改修工事 18【リノベーション・仕上げ復旧】
築年数、約26年目を迎えるお住まいの浴室改修工事もいよいよ大詰めです。
システムバスの組立ても完了したので、次は脱衣室側の復旧仕上げ工事を行っていきます。
ここで再度大工職の登場です。
壁の復旧と、床の下地関係の復旧施工から進めていきます。
忘れてはならないのが、洗濯排水の修繕ですね。
例のソケットのクラックから漏水しているところです。
⇒浴室改修工事 10【リノベーション・躯体補強施工編 アクシデント】
先ずは不具合箇所を切断して除去していきます。
切断する前には、元の位置をしっかりと計測して記録しておきます。
ソケット類がバキバキに割れています。
対象部材を新品に交換していきます。
今回はより限られたスペースでの施工になりますので、排水にはフレキシブル管を利用します。
ジョイントのソケットも新品に切り替わりこれで安心できます。
洗濯トラップ廻りの寸法を計測し、パーツとして組み上げていきます。
ここはより慎重さと経験値が求められるところであります。
パーツが組み上がったところで、最終の接続作業に入ります。
入念に接着剤を塗り、しっかりと圧接して接続していきます。
なぜでしょうかね?
この作業ついつい息が止まりますね。
これで洗濯排水からの漏水も完全に復旧修繕できました。
これも安心!あれも安心!
一工程ずつ安心度がUPしているのがわかり嬉しい限りです。
さて、ここまで整えば最終の仕上げ工程へと移ります。
すでにタイルも張られていますので、左官職による塗り壁の仕上げ工程です。
先ずは下地処理から。
ファイバーテープとパテを用いて、ボードのジョイント処理をしていきます。
塗る範囲がたくさんある場合は、一連の作業の中でパテの硬化時間も確保できますが、小面積の場合は次工程に移っていきたいので、ヒートガンなどでパテの硬化乾燥を促したりします。
ヒートガンはすさまじく高温になるので、ヘアドライヤーのような使い方はNGですね。
温風ではなく、熱風となりますので。
フワッ、フワッ、って感じで優しく熱風をかけていきます。
パテの乾燥を確認してから下塗り工程に移ります。
さすがに同日での仕上げは不可能ですので、塗り付け後はそのまま養生をおきます。
一昔は”湿式工法”がメインでしたが、昨今では”乾式工法”がメインなので日数的にもかなり助かっています。
下塗りの乾きを確認してから、仕上げ材を塗り付けていきます。
こちらでは本漆喰を使用していますので、仕上がり後には際立った白い美しさが期待できます。
漆喰は練り置きといって、作業当日に練るのではなく事前に練っておきます。
材料がよく馴染み、施工性もよくなるようです。
また、漆喰は空気に触れなければ固まらないので、容器に入れて水を張っておけば長く保管できるのもありがたいことです。
一言に漆喰とはいってもたくさんの種類があります。
種類があるという言い方はある意味語弊があるかと思いますが、基本的な成分はどれも一緒であり、漆喰の製品として種類があるという言い方の方が正確でしょうかね。
ちなみにこの材料を使用しています ↓ ↓ ↓
漆喰の基本的な成分は、消石灰+水+繊維+糊成分を練り混ぜ合わせたものになります。
屋外などに使用する場合は、これに油をいれて油しっくいにします。
繊維に用いられるのは、主に”麻スサ”や”紙スサ”が多いです。
また藁を練り込むのも、表面にテクスチャーができて、趣ある良い雰囲気にもなります。
じゃぁ糊は???
気になりませんか。
実はこの糊成分の元は”海藻”なんですね。
私はその時代を知りませんが、昔は現場で火を焚いて海藻を煮たそうです。
この海藻を煮て抽出した天然素材の糊のことを”角又(つのまた)”といい、塗り壁用の増粘材として用いられております。
今では現場で火を焚くなんてバカな真似はできませんが、だれがこのようなことを発明したのでしょうかね。
昔の人の知識と知恵には本当に脱帽します。
ですから、漆喰を塗っている時には、なんとなく海の匂いがしてきますね。
個人的にはこの匂い好きですね。
昔は左官職がこの糊と各材料を配合して漆喰を作っていたようですが、現在では既調合の漆喰が製造されていますので、そちらを使用することが主となっております。
前置きが長くなりました。
それでは下塗りした壁に、この漆喰を塗り付けていきます。
そして、塗り付け後に鏝で押さえて平らを取って馴染ませていきます。
口で言うは簡単ですが、平らにするような実際の所作は素人には無理ですよね。
私も鏝より大きい面積は無理です 笑
そもそも、塗る前の所作すらできないです。
だいたいが、鏝板(ネタを乗せる板)から鏝に材料を乗せることができませんし、そのまま床にボタ!っと落としてしまうのが関の山です。
セルフビルドで塗るのも楽しいですが、本職の作業を見ているのもなかなか楽しいものですよ!
作業を眺めていると、まるで自分が塗っているかのように錯覚するので、それはそれで気持ち的には十分満足ですかね!
一度平らを取ってから良い水引き加減になるまでしばらく左官職と雑談しておりました。
時間的には40分くらいでしたでしょうか。
頃合いを見計らって仕上げの押さえ込みを行います。
少しでも鏝の引き跡が目立たないよう、光を当てながら押さえていきます。
この辺りはさすがといったところですよね。
柔らかすぎず、固すぎず、押さえる力と鏝の引きスジを加減しながら仕上げていきます。
これは絶対に数値では表すことは不可能です。無理です。
このような左官職が建築パートナーでいてくれることに、大変頼もしくあり感謝です。
それにしても”左官(さかん、しゃかん)”って建築ではわかりますが、一般にはあまり聞きなれないかと。
文字通り左の官と書きますが、実は右の官という職方も実在しました。
現に今も建築の代表格としてその職種は存在しております。
【左官】、【右官】、とその職としての歴史はとても長いのも特徴の一つですね。
諸説ございますのであくまでもご参考程度に。
現場監理 金原