リフォーム記録
木製バルコニー改修 06【修復再生・施工 vol.2】
築年数、約18年目を迎えるお住まいの木製バルコニーの改修工事です。
前回では墨出しと墨付けを行いました。
こちらの梁が入るところのホゾ穴も彫られています。
つなぎの梁が2本入りますので、寸法に注意して加工をしています。
当然ですが穴が彫られた部分には素地が表れます。
後々には見えなくなってしまうところですからね。
こういったところは事前の塗装が大切です ↓ ↓ ↓
この繰り返しが安心につながります。
それでは柱の切断作業開始です。
決して切りやすい作業姿勢ではないので大変さがより増します。
やりやすい作業姿勢であっても、片手で12cm角の材料を切るのはかなり大変ですよ。
切断する位置が、梁のすぐ真下なので機械を使えないがツライです。
でも幸か不幸か、、腐食しているところは思いのほかザクザク切れてしまいました。
丸ノコが使えたら切断スピードは格段に違うんですけどね。
ここはスピードよりも安全性と正確性が優先されます。
先行して中柱にあたる1本目が切断されました。
切った断面をみると、あちゃちゃ・・・です。
やっぱり外見からではわかりづらいです。
断面の6~7割程度に損傷が広がっていました。
経年の浸水で内部が腐食して、あるべき木質部分のその姿がなくなっています。
梁のホゾから下はご覧の通り腐食が目立ちますが、それより上は比較して良さそうです。
で、こちらが切り落とした元の柱 ↓ ↓ ↓
想定した範囲より深い所まで腐食が進んでいることがわかります。
切断して除去という判断は間違っていなかったと断言できます。
続けて2本目の角の柱も切断していきます。
皆さんもおわかりだと思いますが、この2本の柱を切ってしまったらどうなるか想像できますよね。
・・・
そうです。
バルコニーが落下してしまうという危険が潜んでいますね。
したがって切断前にはジャッキアップをしっかりして安全の確保が絶対条件です。
ここもやっぱり手ノコでの切断になります ↓ ↓ ↓
そうとはいえ、切りづらいことに変わりないですね。
高所の作業ですから常に危険が伴います。
両手でノコギリを挽いてしまっては体勢も不安定になるので、どうしても片手での切断になります。
事故なくこちらも無事に切れました ↓ ↓ ↓
こちらも腐食部分が広がっています ↓ ↓ ↓
腐食部分は断面積の半分くらいといったところでしょうか。
中柱と比較すると腐食の範囲は若干少ない気がしますが、決して良い状態ではないですね。
こちらが切り落とした柱 ↓ ↓ ↓
梁と接していた部分を中心に腐食が進んでいるのがわかりますね。
反対側はどうでしょうかね。
・・・ですよね・・
腐食の範囲は狭まっているものの、雨水の浸入の痕跡がはっきりとわかります。
これでバルコニーの角付近が完全に浮きました↓ ↓ ↓
この状態あまり気持ちの良いものではないですよね。
でもしっかりとジャッキアップしているので安心です。
切断した柱の内部もキレイにしていきます ↓ ↓ ↓
マイナスドライバーなどを使って、ガシガシやりながら腐食部分を落とします。
中柱も同様に綺麗にしていきます。
結構、大きい破片がでてきました。
完全な除去はできないですが、可能な限りキレイにできました。
柱の切断も整ったので、ここから継ぎ手の加工に入っていきます。
中柱は取り外せないので立った姿勢での作業となります。
やりにくさはありますが、機械が使えるようになったのはありがたいです。
でも結局は全てが機械でできる訳ではないので手道具と合わせて加工を進めます。
ちょうどジャッキがあるので多少のやりづらさはあります。
本来であれば作業台の上でやりたいのが本音でしょうね。
柱が色濃く鉛筆の墨線が見えにくい為、型紙代わりにテープを張って墨線の代わりにしています。
割り肌面をノコギリやノミで荒削りした後に、カンナを使って綺麗に整えていきます。
普段何気なく使っている道具でも、いざ漢字で書くってなったら難しいです。。。
ノコギリ ⇒ 鋸
ノミ ⇒ 鑿
カンナ ⇒ 鉋
鑿なんて、絶対ムリですよ
(ヾノ・∀・`)ムリムリ
角の柱は取り外しての加工ができるので助かりました。
継ぎ手の加工も安定した姿勢でできます。
こちら取り外した柱の木口 ↓ ↓ ↓
決して良好とは言えないですが、先の梁の真下部分と比較すればかなり良い方です。
木材には”冬目と夏目”があります。
冬の時期に育った部分と、夏の時期に育った部分です。
バウムクーヘンで例えると、
スポンジ部分が”夏目”にあたり、焼き目部分が”冬目”にあたります。
夏季の方が成長も早く木目的にはやわらかい性質ので、どうしてもその経年劣化の違いが生じてきます。
この放置時間でだいぶ乾いてきたのもありがたいこと。
ここが塗装のチャンスです!
塗るというか、塗料を染み込ませるようにしてガッツリと塗装しました。
それと忘れてはならないのが柱の継ぎ手部分ですね。
ここも組立前にしっかりと塗装しておくことが大切です。
この先絶対に塗装できないところですから忘れてはなりません。
改めてこうやって見ると、何となく ”んっ??” ってなりませんか?
やっぱり大工職には刷毛よりもノミやカンナ、ノコギリの方が断然似合うなって思います。
これでようやく新しい部材との組立て作業に入ることができます。
組立てに入るまでにはそれ相応の事前作業と時間が絶対的に必要不可欠です。
先を急ぐあまり気持ちが焦り、ついついこの領域が軽視されがちですが、それはダメ。
しっかりとした物を造るには、しっかりとした事前の準備が必要なのは皆さんも同じ考えですよね。
それはソフト部分とハード部分のどちらかが欠けてもダメ。
簡単な仕事、楽な仕事なんて、そんな線引きはきっと無いんじゃないかな。
あるのは時間がかかるか、あまりかからないかではないでしょうか。
例え、どんな仕事であっても丹精を込められるかどうかが、仕上がりを左右するんだと思います。
次回も、引き続き組立てと修復再生の様子をお伝えしたいと思います。
木製バルコニー改修 06【修復再生・施工 vol.2】
現場監理 金原