リフォーム記録

大規模リフォーム・フルリノベ 04【解体編 vol.03 断熱】

築年数、約35年目を迎えるお住まいの大規模リフォーム・リノベーション工事です。

 

前回では、解体作業を一時中断し大工職と一緒に構造の検証を行いました。

ここからさらに詳細な補強方法の検討をしていくようになります。

現地では解体工事の再開されます。

文字通り今回は大規模リフォームです。

家の中だけではなく駐車スペースも改修範囲の工事計画となっています。

駐車スペースも新たに造り替えるのでこの部分の解体作業も進めていきます。

基本がコンクリートですから斫り(はつり)は絶対的必要な作業となります。

ただ解体しただけでは元々あったものがなくなってしまうので必然的に高さが低くなってしまいます。

そうなると車が停められなくなるので、砕石も入れて高さ調整もしながら作業を進めていきます。

高さも確認しながらハツリ作業が進みます。

一気にすべてを解体できませんので、コンクリートカッターでの区画分けが必要です。

区画分けされたところで、解体→搬出→砕石入れ、解体→搬出→砕石入れを繰り返し、効率良く作業を進めていきます。

コンクリートのガラと併せて植木などの一部植栽があるので、こちらも分別して処理できるよう積込みを行います。

 

駐車場の解体と並行して内部工事も進んでおります。

撤去できるものから取外していき、進行にあわせて天井の解体も進めていきます。

このような形の天井のことを”竿縁天井”(さおぶちてんじょう)といいます。

ごく一般的には、主に和室の天井の意匠として用いられてきた手法です。

昨今ではデザインも多様化されてきており、見せる意匠の一つとして用いられる場合が多いです。

当時の設計士の方もきっと意匠を凝らしてこのデザインを組み込んだのでしょうね。

そんな心意気が伝わってきます。

天井が解体されていく過程で内部の状態がだんだん見えてきます。

下から見上げると屋根の勾配なりに断熱材が入っていますので、このお宅は”天井断熱ではなく”屋根断熱”だというのが、目視で確認できるようになります。

↓そしてこちらが内部を見渡した状態です。

この画像を見て皆さんならどう思います。

屋根と壁には断熱材が入っています。でも一点おかしなところがありますね。

気付かれましたか?

気付かれましたよね。

本来であれば、建物は外気と内気が直接つながらないように、”連続した断熱層”で遮断しなければなりません。

しかしこの画像を見る限りでは、その断熱層で遮断された空間の中に換気口が設けられております。

想像できますよね。

そこから冬の冷たい空気や、夏の熱い空気が、勝手気ままに出入りできるようになってしまっています。

つまり屋内と屋外がこの換気口を通じて同じ空間となってしまっていたわけです。

しかも断熱区画された中でということです。

これでは、せっかくの断熱性能も有効に働きませんね。

小屋裏換気口が大事なのも十分理解できますが、この換気口の機能を優先させるのであれば、断熱層は天井のすぐ真上に設けなければなりません。

そうすることで、”壁面の断熱層”と”天井面の断熱層”が、連続した断熱層になり、外気が入る小屋裏空間とは断熱区画されるようになります。

↓同じく別の角度から見た画像です。

こちらも一見断熱材がしっかりと入っているように見えますが、先ほどの原理でいいますと疑問がありますよね。

同じように、断熱区画された中に換気口があるので、冷気や暖気が自由に出入りしてしまいます。

換気口ですから空気の出入りは自由であり、むしろ効率よく換気してくれる方が良いです。

ただしそれは、しっかりと断熱区画されているということが最低限の必須条件ですね。

こちらの場合も、断熱層と小屋裏換気層の区画分けがされていません。

したがって、

冬は冷たい空気が入ってきて室内温度が冷えてしまう。

 

夏は熱い空気が入ってきて室内温度を上げてしまう。

当然ですが、冷暖房効率はよくならないのが理解できると思います。

特に冬は冷気が入り込んできて、とにかく寒かったのだろうと十分推測できます。

解体を進める中で、この事象がはっきりとわかり対応策がより明確になりました。

建物の全ての範囲ではありませんが、今回の改修工事範囲では断熱改修も計画しております。

しっかりと外気と内気の区画分けを行い、当然ですが連続した断熱層を設けていきます。

 

大規模リフォーム・フルリノベ 04【解体編 vol.03 断熱】

現場監理 金原