リフォーム記録

大規模リフォーム・フルリノベ 07【解体編 vol.05 素屋根】

築年数、約35年目を迎えるお住まいの大規模リフォーム・リノベーション工事です。

 

屋内側での解体が進行中ですが、屋外部でも同時に解体が進行しております。

建築業界におきましても最近では職方の多国籍化も珍しくはありません。

祖国を離れて真剣に仕事をしている様は尊敬の念すら感じる時があります。

もし自分が相手の立場だったら同じようにここまでできるだろうか。

どうやら頭で考えると無理そうです。。。本当に心から尊敬します。

 

今回の改修工事では建物改修だけではなく屋外部分でも改修範囲が広がっております。

昨今ではコンクリートブロック塀の倒壊事故というのも稀に耳にしたりします。

実際にこちらのお宅におかれましても既存のブロック塀に傾きが発生しておりました。

初期段階での現地確認では約20mm程度自敷地側に傾いていました。

このような状態では住まい始めてからも心配が払拭できないかと。

”より安全に暮らせるよう”

”より安心して暮らせるよう”

このような観点からブロック塀の解体撤去をする運びとなりました。

もともとのブロック塀に木製のフェンスが取付られていましたので、先ずはこの部分から解体撤去を進めていきます。

境界の作業になるので隣家さんにも許可をとって敷地内に入らせていただきます。

綺麗に解体するには撤去するところと残すところの縁切りが必要です。

したがって斫り(はつり)前にはコンクリートカッターを入れて縁切りをしていきます。

ただしそのままカッター入れると相手がコンクリートなので粉塵が激しく飛散します。

飛散防止策として、カッターの刃先にはホースで水をかけながら、またその作業のすぐ後ろでは飛散防止の為にシートで覆いながら、安全に、正確に、クリーンな環境で作業を進めていきます。

ただし作業者には水とコンクリートの粉が混ざったものがダイレクトに飛んできますのでレインコートはは必須ですね。

縁切りしていますので解体後の切断面が綺麗です。

『安全第一』←至極当たり前ですがこれが最も重要です。

作業者の安全確保、周辺への安全確保、環境への安全確保など。

安全に行うことが最も正確で安心でき、かつ一番の近道だということは言うまでもありません。

解体が進めばその撤去材が転倒する可能性も自然と高まります。

斫る側と支える側。お互いの協力が大事ですね。

当然、作業従事者の身の安全確保も絶対です。

万が一支えている側の人に斫りノミが飛び出してしまっては危険極まりありません。

そこで合板を盾代わりにして身の安全を確保しながら双方にケガな無いよう作業を進めていきます。

またコンクリートブロックが部分的に崩れるのも防いでくれます。

そうこうしている内に木製の塀も順次取り外しが進んでおります。

それを追いかけるようにしてコンクリートブロックの解体撤去が進行しております。

流れ作業というとなんとなく聞こえ方がよろしくありませんが、流れるように作業を行えることは効率もよく、かつやりやすい環境で作業ができるので、結果安全につながるといった良い効果が生まれます。

外部の解体作業が進んだことにより、外部足場の組立て作業ができる状態になってきました。

言い方を換えれば、足場を組んでしまってからでは屋外の解体作業ができなくなってしまう・・という手順的背景があります。これも段取りでしょうかね。

この段取りというもの。

特にご婦人の方の段取りには頭が下がります。キッチンで調理をしている時の段取りの良さは抜群だと思います。調理をしながら洗いものをしたり、その間にお湯を沸かしたり炒め物をしたりと云々・・

私の中ではあの段取りの良さはピカ一だと思っています。

 

今回の改修では”減築”(げんちく)という工程があります。あまり聞きなれない言葉ですが、文字通り、建坪を減らして造り直すという工事です。完全にリノベーションの域です。

減築についてはこちらでも触れていますので参考にしてください。

→【コラム06】減築のススメ

減築は減築でも、今回の改修工事におきましては、”減築したところに今度は屋根の形を変えて増築する”といった、少々複雑的要素を含む工事が控えています。

しかも切り離したところをシートで壁を塞ぐことができないので、解体後の雨養生ができない状態になってしまうというリスクもあります。

↓ ↓ ↓屋根の形がこのように変わる計画です。

↓ ↓ ↓したがって初期の段階でこのような仮設計画としました。

そこで一般の個人住宅ではほとんどと言って用いられる方式ではありませんが、”素屋根”(すやね)という方式の仮設工事を行うよう計画しました。

主には社寺建築や城郭建築、また重要文化財の建物の建築工事に用いられる仮設工事の一種で、屋根の上にもう一つ仮設の屋根を作るといった工事になります。要はとっても大きさ傘の役割を果たします。

この方式であれば、工事中においてもかなりの確率で雨を防ぐことができますし、安全に安心して作業を進めることができるようになります。

それに雨が降るたびに家の中がずぶ濡れになってしまっては目も当てられませんし、大惨事となってしまう可能性がありますので、今回の改修工事におきましては必要不可欠な仮設工事となります。

安全な環境。安心できる状況。クリーンな作業環境。

こちらを整えていくことは、住まい手であるお客様にとっても安心を守るべく、工事に関わる職方にとっても安全を守るべく、双方にとってとても大切な要素であり最低限守るべき重要なことであることに間違いありません。

 

大規模リフォーム・フルリノベ 07【解体編 vol.05 素屋根】

現場監理 金原