リフォーム記録
戸建リノベ・店舗増築 07【基礎工事】
築35年の戸建住宅の増築リノベーション。
無垢の木・自然素材を使用したプライベートヘアサロンの計画です。
前回は解体工事についてお話しました。
今回は基礎コンクリート工事。いよいよ造る行為に入っていきます。
増築における基礎工事は「計画も施工も難しい」というのが本音です。
既存建物と増築部の取合いやコンクリートの仕上げ高さの設定を間違えると、構造体のズレや敷地内の段差や水溜まりの発生、床下への雨水の浸入などが起こる可能性があります。
コンクリート工事は後の調整ができないため、施工前に道路や敷地内各所、玄関土間や1階床の高さを正確に測定し、増築部の基礎高さを適切に計画する必要があります。
「高すぎも低すぎもダメ。失敗は許されない。」ことが難しい理由です。
言葉だけでは分からないと思いますので、写真を使って説明していきたいと思います。
既存建物内は水道配管工事を先行して済ませておきます。
この時点でトイレやシャンプー台、水洗いシンクの据付位置を正確に追い出し、配管の位置を設定しています。
コンクリート打設後は調整ができないため、配管位置にも正確性が求められます。
既存の土を平らに均しています。
重機が入れないので、人の手で。
8帖ほどの面積ですが、これがかなりの重労働。
重機(ユンボ)が使用できるかどうかで作業効率はかなりの違いが出ます。
ある程度全体を平らに均したら砕石を敷いて転圧していきます。
土の状態と比べ、見た目にもきれいになりましたね。
この時点で、この後流し込むコンクリートの仕上がり高さが決定しています。
ということは、最終的な床の高さが決定している状態です。
(多少の調整余地はありますが、数センチです。)
そしてこちらは増築部分。
コンクリートを打設する部分の土を掘り、鉄筋を組んでいきます。
こちらはユンボが使用できたため、短時間で進められました。
少しずつ、増築するイメージが見えてきました。
外周部の立ち上がりコンクリートを流し込み、養生したところです。
施工範囲は大きくありませんが、施工順序は新築工事とほぼ同じ。
新築工事と異なる点は既存の基礎とぶつかる部分があること。
この辺りの施工精度が非常にシビアで、後の工程や仕上がりに影響が出るポイントです。
・既存の基礎高さに合わせるのか、段をつけるのか。
・基礎の幅はどうするのか。既存と合わない場合はどのように納めるのか。
・地震時にクラックが発生しないように既存部分とどのように繋げるのか。
最終仕上がりをイメージし、現地で判断しなければなりません。
建物の基礎ができた後、スロープをつくっていきます。
「老若男女、様々な方に利用して頂けるように」という建て主の思いから、店舗のアプローチはスロープにしました。
手前には道路からお店に入れるようなステップを設けています。
地面高さを調整し転圧、鉄筋を敷きこんでからコンクリートを流し込みます。
店舗床の高さと地面の高さの差を計測し、スロープの角度を最終決定しています。
左側にある四角形の穴あきコンクリートにはウッドフェンスの柱を建てます。
この時点で外構計画もある程度決定していますので、このような先行工事を行うことが出来ています。
家の中はというと、こちらは人の手でコンクリートを運び、土間を仕上げています。
コンクリートの下には断熱材が敷かれています。
型枠を外し、基礎工事は完了です。
出来てしまえばよくあるコンクリートの基礎なのですが、緻密な計測のもと各所寸法が決定されています。
リフォーム工事に細かな変更はつきものです。
最善の回答を短時間で導くためにも、各職人とコミュニケーションが大切です。
緊張感のある作業が多かったのでここでひと息つきたいところですが、変更点を各職人に連絡し、後工程の段取りを進めます。
次回からは大工が登場し、増築部分の組立てに入っていきます。
これから見応えのある写真が増えるはず、、、です。
続く。
設計:増田