リフォーム記録
浴室改修工事 08【リノベーション・躯体補強施工編 詳細解体1】
築年数、約26年目を迎えるお住まいの浴室改修工事です。
考査と方法の検討を繰り返し、躯体補強の施工計画が整いました。
担当大工業者とも、現地立ち合いのもと打合わせを行い、必要図面をファイルにまとめました。
計画は大事です。
その計画や考えを見える化したものが図面です。
図面は何度も見ますからね。
ですから、最終的にはボロボロになるのは仕方ありませんが、絶対に乱雑に扱ってはいけません。
それでは、早速始めていきましょう!
先ずは、躊躇なく既存のアンカーボルトを切断していきましょう。
錆でボロボロですし、それに“ボルト”と“ナット”と“座金”が、錆でくっついちゃってます。
あまり歓迎できない、三位一体となってしまっています。
まさかこのまま使用するわけにはいきませんし、そもそも使用出来ませんね。
グラインダーに切削砥石をつけて切断していきますので、切断の際には相応の火花が飛び散ります。
木造ですから、火の気は大敵ですね。絶対的な注意が必要です。
そこで、より安全を期すために切断付近には先行して霧吹きで水をかけ、周辺を湿らせてから作業に入ります。
既存アンカーボルトの切断にあたっては、劣化や損傷という理由が第一に挙げられますが、それ以外にも切断する理由があります。
仮に劣化しておらず健全な状態であっても、おそらく私は“切断”という判断を下すと思います。
『なぜ、使えるボルトまで切断するんだ?』
・・という意見もおありだと思いますので、その理由は改めてご説明したいと思います。
理由というか、どちらかというと私の個人的価値観の方が強いですね。
グラインダーは回転スピードが速いので、刃先に無理な力をかけないよう、少しずつ切断していくことに注意が必要です。
安全に作業することは第一ですが、決して安全な作業とはいえませんので、慎重に切断を進めていきます。
始めはゆっくりと刃先を当てるようにして、刃の溝が切られてきましたら、再度機械を安定させながら、切断能力に呼吸を合わせてゆっくりと切断を進めていきます。
同じ手順を繰り返し、他のアンカーボルトも切断していきます。
続けて、他の場所も同作業を繰り返していきますが、こちらは脱衣室側になりますので、火の気対策についてはより注意が必要なところです。
そのようなところは、保護マットもあてながら作業をすることが大切ですかね。
切断されたアンカーボルトです。
ボルト周囲には錆がベッタリと付着していますが、中心部分までは錆に侵されてはいないのがわかります。
ここで、この作業における最も重要なことのお伝えです!
それは、絶対に午前中で切断作業を終わらせるということです!
どんな理由があろうと、午後はダメ!
切断においては火花が飛び散りますので、作業的にも建物的にも必ず危険が伴います。
特にこの場合の危険とは、火事に対してです。
もしかしたら飛散した火花が、目に見えないところで燻っている可能性があるかもしれないというです。
これを阻止する為に、水をかけたり保護マットをあてていますが、そのリスクは0ではありません。
したがって、午前中に作業を終わらせることで、リスクへの対応が午後にできるということです。
このような屋内での工事の場合、理屈抜きに絶対に厳守しなければならないところですね。
それにしても、職方の会話って実に淡白ですよね。
『アンカーも切れたし、さてどこから手をつけようか・・』
『ここからがいいんじゃない? それともこっちの方がいいか?』
どうする、こうするといった、このような会話が聞こえてきますね。
『じゃ、そういうことで。』
どうやら二人の意向が決まったようです。
でも、私こういう会話好きです。
双方において、お互いのやるべきことや、それぞれの作業範囲を認識しあい、最低限の会話でほぼ内容を共有しあえるって、見方によっては素敵なことだと思います。
信頼しあっているからこそ、これが成り立つんだと思います。
丸ノコや、マルチツールと呼ばれる道具を駆使しながら、順を追って躯体部分に刃物が入っていきます。
当然、手鋸(てのこ)や鑿(のみ)なども使いながら、除去しなけらばならないところ、除去したいところから順に、補強及び復旧を目的とした、詳細な解体作業を進めていくようになります。
解体作業時における目的は、“解体の為の解体作業”であり、
今回の目的は“復旧の為の解体作業”となります。
したがって、ただ解体をすればよいのではなく、円滑に復旧作業につなげていくために、次工程を考えながらの解体作業になりますので、うかつに刃物を入れないよう注意しながら進めていきます。
だんだんと不要なところが除去され、綺麗になってきているのがわかりますかね。
ここで、ラスボス的なものが出現!
こちらのお宅は、OMソーラーというパッシブソーラーを備えた住宅となっていますので、床下空間は気密が保たれるような造りになっています。
したがって、土台部材と基礎の間には気密材が施工されているんですね。
現在では、気密や防水を目的とした、使いやすい色々なアイテムが出回っておりますが、約30年前の当時としてはブチルテープが主役だった時期があります。
このブチルの粘着力は、半端じゃなく強力なんですね。
それに加えて、特に夏季期間における使用感は、もはや最悪レベルといっても過言ではありません。
高温で粘着層が柔らかくなり、ベタベタベタベタとしつこいくらいにくっついてきます。
・手は汚れるし、
・服は汚れるし、
・道具は汚れるし、
・その手で触ったもの全部汚れるし、
・あちらこちらに着いて色んなものが汚れるしで、
味方にするととても頼もしいアイテムですが、敵に回すととても厄介なアイテムです。
形状は、平面状のものから丸状のものまで、いくつか種類があります。
今回使用されていたブチルテープは直径1cmくらいのものです。
このブチルテープを、当時は土台部材と基礎の間に張り込んでから、ボルトを介して強固に土台を留めつけているんですね。
したがって、丸状を平らに潰すようにして、隙間が生じないよう気密を確保しているという理屈なんです。
ただでさえ強粘着のテープを、さらにボルトで引寄せるようにし圧接しているわけですから、その固着力+粘着力は半端なものではありませんね。
今回は撤去になりますから、敵に回す形となります。
これを取らなければならないんですよ・・・
ここからは、とにかく無心となり根気との勝負です。
皮スキでズリズリ、ゴリゴリやりながら地道な作業がしばらく続きます。
どうですか?
除去前と除去後の違いがおわかりになりますでしょうか。
あまりよくわからないですね(汗)
取れば取ろうとするほど、テープがビヨビヨと伸びていき、取ってるのか伸ばしているのか、一体何をやりたいのかわからなくなってきます。
とにかく厄介だということだけは確実です。
劣化損傷部分の詳細な解体除去も着実に進行しつつあります。
だいぶ綺麗になりましたが、もう一息というところでしょうか。
ここから先の詳細解体は、復旧作業と並行して進めていくようにします。
一先ずは、ふぅ~っていう感じですね。大工職の二人も大変お疲れ様です。
これで浴室側の詳細解体は一旦キリとなりましたので、次は脱衣室側の床の詳細解体に移っていくようになります。
ここでいきなりアクシデントが発生しますが、それはまた次の機会に。
現場監理 金原